TRPGではキャラクター作成の際に「PC設定」を考えておくことが多いでしょう。しかし、慣れていないプレイヤーには難しいでしょう。システムによっては、ルールブックに出自や行動の動機、能力の由来、外見特徴などを決めるための表が掲載されているものもあります。そういう表が準備されていないTRPGをプレイするときや、既成の表だけでは物足りないというときのため、設定のガイドラインを提示します。

◆ポイント１「設定を作る目的は、ゲームで活かすため」
　設定を書くことは目的ではありません。シナリオ中で活躍させるために、設定を作るのです。設定を作り込み過ぎてしまって、逆に行動しづらくなると本末転倒です。だから、はじめのうちは、性格設定等を決め過ぎない方がいいでしょう。

◆ポイント２「行動の動機を考える」
　PCが積極的にシナリオに関わるための動機を考えましょう。言い換えるなら、モチベーションを持たせましょう。このとき気を付けるのは「行動しない理由」ではなく、「能動的に行動する理由」であることです。例えば「戦いは嫌いだけど、大事な人を守るために武器を手にする」「金を持っているが、さらに儲けるため投資する」「上の階級の武士を見返すため」「怖い目に遭うのはイヤだけど、見過ごしてさらに悪い事態になるのはイヤだ」など、マイナス感情があったとしても、より強い動機を与えます。
　動機の例としては、金銭、名誉、愛、知識、復讐、欲望、修行、戦闘、観察、退屈、などの10種類の類型が考えられます。

◆ポイント３「PCも見た目が大事」
　PCの外見も考えてください。例えば、深紅のコートに幅広帽子、フロックコートに鳥打ち帽、トレンチコートにシルクハット、だんだら羽織に鉢金、フルフェイスヘルメットと防弾コート、というように頭部と上着の組合せを描写するだけでもキャラクターの印象はかなり変わります。服装、髪の色や髪型、装飾品、武装などを考えてみてください。

◆ポイント４「人間関係」
　シナリオに参加するのは一人のPCだけではありません。他のプレイヤーが演じるPCもいます。NPCもいます。他のプレイヤーと話し合って、お互いのPCがどういう関係なのか考えておくとプレイしやすくなります。単純に仲間でもいいですし、家族、ビジネスパートナー、主従、師弟、好敵手、相棒、その他の関係もあります。また、ハンドアウト等で重要NPCの存在があらかじめ公開されている場合には、NPCとの関係も考えておくといいでしょう。

◆ポイント５「PCにも日常はある」
　ここでは、ファンタジー世界の「冒険者」は例外と考えます。特に現代を舞台にしたTRPGでは、PCは何らかの職業に就いていたり、学生だったりして、日常生活を生きています。家族はいるか、普段は何をしていて、どこに住んでいるのか、そういう日常を決めておくことで非日常の冒険との対比が際立ちます。システムによっては「平穏な日常」をPCが守るべきものと考える場合もあります。ならば、大事なものがないと戦えないでしょう。

◆ポイント６「好きな食べ物は何ですか」 　PCの趣味や嗜好を決めておくと、キャラが引き立ちますし、ちょっとした演出に使えます。フィクションの登場人物を何人か思い浮かべただけでも、蕎麦が好き、カレー大好きの黄色キャラ、牛丼一筋、糖分は頭脳活性化に必要だ、水と栄養剤を週に一度補給するだけでいい、紅茶に砂糖を13杯、ワインしか飲まない、などなど。食べ物に限定しません。嗜好品でもいいですし、趣味の傾向でもいいです。要は、ちょっとした個性を持たせることです。

◆ポイント７「リスペクト上等」
　いわゆるパクリについて書いておきます。元ネタがあからさまだと、他のプレイヤーやGMが元ネタを知っていたら興ざめします。元ネタを知らない場合には話が通じなかったり、噛み合なかったり、という問題が起きます。しかし、小説や漫画のキャラクターを元にして、自分なりにアレンジを加えてPC設定に使うのは問題ありません。物語や神話・伝説の研究によると、ほとんどのフィクション作品のキャラクターは十種類程度に類型化されます。有名な作品のキャラクターも源流をたどればギリシア神話やシェークスピアの戯曲に由来することもあります。映画『スターウォーズ』も黒澤明の映画からインスピレーションを得ています。
　なお、システムによっては、柳生十兵衛や甲賀弦之介やアベル・ナイトロードのようなキャラクターではなく、元ネタそのものをPCとして使う原作モノTRPGや架空歴史TRPGもあります。

以上の７つのポイントを押えれば、TRPGのキャラクター作成に役立ちます。もっと追求したい人には、キャラクター小説の書き方やハリウッド映画の脚本術が参考になります。新城カズマ先生の『物語工学論』他の著書がお勧めです。

（90年代の）ネットゲームのキャラクター作成をベースにしたPC設定ガイドと汎用シートも参考にしてください。 汎用プロフィールシート