時は２１世紀初頭。画期的な新技術の発明もなく、文化・政治・技術には大きな変動がないまま人類は新世紀を迎えた。しかし、妖怪の世界は異なっていた。２０世紀末に起きた“神との戦い”は、世界各地に大きな波紋をもたらした。
あるネットワークは激戦で多大な犠牲者を出して活動休止状態になった。あるネットワークは隠れ家が現世に現れたままになり、隠れ潜むことが出来なくなった。妖怪達はこの状況変化に対応して有り様を変えるしかなかった。そしてまた、これも影響なのだろうか。新たな妖怪が生まれやすくなったり、永き眠りから甦る妖怪が増え始めている。
妖怪にとっての新たな時代が始まったのだ・・・
この新たな時代に、新たな妖怪互助組織が誕生した。その一つ、首都圏を中心とした組織の名は＜バロウズ＞だ。首都圏のモノにはお馴染みであろう。表向きは「日本と外国の架け橋」をキャッチフレーズにし、兎のマークで有名な専門学校グループである。一般人にも外国語・日本語や専門技術を教えているが、その真の生徒は新たに生まれた妖怪たちや今まで人間と関わってこなかった妖怪たちなのだ。新時代の妖怪たちに人間社会における常識を教育し、生活のすべを与えている。そして、ネットワークへの紹介までも行っている。
では、我らが関西地方はどうであろうか。＜ソラリス（仮）＞という名前を聞いたことがあるかもしれない。大規模スーパー・コンビニとも業務提携をしたビジネス系、技術系専門学校グループで京都を本拠としている。関西圏では亀のマークでお馴染みだ。たしか、ナツモリとかいう名前の男が理事をしていたはずだ。公式には何も明らかになっていないけれど、この＜ソラリス（仮）＞が妖しいと噂されている。名前からは、20世紀まで京都妖怪を取りまとめていた＜陽閑寺＞の「陽」を連想させる。あの事件の影響で魔界化しかけた街。その街を命がけで救った霊亀、永い休眠期に入った莫庵和尚と守綱との間にどのような約束が交わされたのか。噂でしか知ることがないけれど、きっと＜バロウズ＞新生と同じ様な経緯があったにちがいない。まあ、あくまで噂の域を出ないけれども。もしも貴方が妖怪であるならば、一度＜ソラリス（仮）＞と接触を持ってみればいい。
なお、本記事はあくまでも推測の域を出ない。信じて何らかの不都合があっても、感知しないので悪しからず。