ここに、妖怪ネットワーク「洛北大学オカルト研究会」がどうやって形成され、発展していったかを記します。何かの参考にしていただければ幸いです。もっとも、大学のRPG研究会という特殊な環境で作られていったので、あまり参考にはならないかもしれません。

共通キャラクター制とは？
サークル内の呼称で「共通キャラクター制」というシステムがあります。一度作成したキャラクターを別のＧＭのセッションでも使用でき、複数ＧＭ間で一種のシェアワールドを作っていくものです。プレイヤーにとっては愛着のあるキャラを再使用でき、ＧＭにとってはあらかじめ作っておくことでキャラメイクの時間負担を軽減できるという利点があります。ただし、ＧＭの代表者がキャラクターをファイルして、いつでも使用できるように準備しておかねばなりません。

「共通キャラクター制」自体はRPGシステムを問いません。ですが、
・キャラの成長性が低くて、シナリオ参加回数に差があってもあまり格差が出ない。
・背景世界が分かりやすくプレイヤー知識の格差が小さい。 これらの条件を満たすシステムが最適です。
また、複数のＧＭと十分なシナリオ供給が必要条件です。共通キャラ制と言うのだから２人以上のＧＭがいないと話になりませんし、十分なシナリオがないとキャラ作成しただけでシナリオに参加することのないプレイヤーが存在してしまいます。その特性が「妖魔夜行」にぴったりだと思った私は、後輩を巻き込んで企画を発動しました。
（グループSNEでもシェアワールドで展開していますし。）

共通キャラクター制の始まり
「共通キャラクター制」を始める前の時点で「妖魔夜行」のＧＭは私を含めて３名いました。シェアワールドを始めるには十分な人数です。後期になって、これまで「妖魔夜行」のＧＭをやっていなかった人までＧＭをしたのは嬉しい誤算でした。

「共通キャラクター制」をやると決まって、その背景世界をどうするか考えたときに、一つの最適解がありました。それは、洛北大学を中心とした京都市でした。理由は２つあります。まずは分かりやすいこと。洛北大学は某国立大学をモデルにしているため新入生にも分かりやすいし、以前から『クトゥルフの呼び声』の舞台として使用されており上回生にはなじみがありました。そして次に、京都は妖怪ネタ・オカルトネタには事欠きません。慣れない人にとっては、オーソドックスなシナリオを作りやすいだろうと思いました。

共通キャラクター制の功罪
　実際に共通キャラクター制を導入したところ、利点もありましたがいくつか問題点もありました。それを振り返ってみます。

☆設定の充実したキャラクター
　従来は単発シナリオで使用されたキャラクターは１回限りですが、何回も使用できると愛着が湧きます。濃い設定を作っても１回だけのシナリオなら十分に消化できないことが多いですが、何回か使うならば十分に使いこなせるでしょう。マスターによってはＰＣの設定を十二分に生かしたシナリオを作ってくれる場合もあります。
　けれども、そういうキャラクターは一握りでしかなかったという評価もあります。生まれの背景や、戦う理由などが作り込まれなかったキャラクターは、マイナス評価を受ける要因となりました。

☆マスター負担の軽減
　公式設定はあって無きが如し。妖魔夜行共通キャラ制度ではサプリメント数冊に及ぶ設定を覚える必要もないし、新たに設定を作る楽しみも十分あります。一人が作った設定が他のＧＭにも使われてサークル全体で通用する設定になるのは面白いことです。
　これにも一長一短あって、一握り（十人未満）のメンバーで作り込まれていった部分が、他の人達にとっては、入りにくくさせる障壁となりました。

☆多様性のあるシナリオ
　複数のＧＭがシナリオを準備することによって、それぞれの個性を発揮した多様なシナリオをプレイする機会に恵まれました。同じ「妖魔夜行」でも邪悪な妖怪と戦う話から、若い妖怪を暴走から救う話、メルヘンチックな話といろいろバリエーションがありました。
　しかし、多様性は傾向の違いでもあります。意図していた、期待していたシナリオと違うという結果になることもありました。

共通キャラクター制の経過
1995年の６月頃に企画が立ち上がり、８月頃にキャラクター集が作成されました。９月から１２月にかけて、１１人のＧＭにより２５回のセッションが行われました。約２０人のプレイヤーが参加しました。
主力となったＧＭがほとんど抜けたため、1996年は休眠期に近い状態でした。
1997年には双魚嵐が中心となって再び行われるようになりました。
1998年夏には参加妖怪の再調査が行われ、秋には別のネットワークである虹も稼働しました。それが最後の盛り上がりだったのでしょうか。
そして・・・。