★悪魔の出現
「魔界都市化」および「大破壊」以前から、少しずつ悪魔の出現が報告されてきたが、それは政府の隠蔽工作により、事実無根の噂、都市伝説とされていた。霧に閉鎖された三週間、どこからともなく出現した妖魔が京都の街を夜行し、鬼が跳梁し、人々を襲った。後の調査により、日本古来のいわゆる妖怪だけでなく、堕天使、妖精、妖獣、幽鬼、外道など様々な種類が確認されたため、それらの総称を「悪魔」と呼ぶようになった。最初のうちは低級悪魔だけであったが、「魔界都市化」以後、徐々に高レベル悪魔が確認されつつあり、魔界の門が開き始めたと言われている。現在のところ確認されているのは、D級C級の悪魔までであり、B級以上の悪魔が現れる場合は能力を制限されているか、ごく狭い地域から移動できないようである。悪魔によって人間に対する態度もさまざまで、単に獲物と見ているモノから、交渉取引きを行えるモノもいる。取引内容は嗜好品や同盟契約など、相手によってさまざま。交渉結果によっては、稀に「悪魔カード」というデータ媒体を人間に渡すこともある。
また、人間変身スキルを持ち、人間に混じって暮らしているモノもいるらしい。ほとんどの悪魔は、それぞれの欲望に忠実に好き勝手に生きている。稀に、高レベル悪魔に統率された悪魔集団が存在しているとも言われる。
悪魔の出現以後、一部の人間は悪魔対策として悪魔自体を利用することを研究してきた。高性能コンピュータを利用した悪魔召喚プログラムがその一つである。このプログラムを使いこなすには万人に一人の資質が必要であり、実用化以前に破棄された。一説には、密かに試作プログラムを流布し、適性者を探す者がいると言われる。次に、人間に悪魔の力を付与する方法が研究された。悪魔同士は合体してパワーアップするという事実が判明し、悪魔と人間との合体が試みられた。だが、その研究は全て失敗に終わった。被験者の99％は悪魔に取り込まれ悪魔化した。残り1％は悪魔の力を得ながらも少しの時間は人間の意識を保つことができたが、性格が激変して、もはや人間とは言えなくなった。彼らは新種の悪魔「超人」として抹殺あるいは放逐された。最後に、チャネラーと呼ばれる一部の異能者がいる。先祖伝来の能力、あるいは特殊な装備品により、契約した悪魔と融合し変身する。ただし、融合変身は不安定であり、敵の魔法攻撃などで平常心が失われると突然解除されることがある。
そして今、悪魔に対抗する力ある存在として、魔界都市に魔人が現れた。人でもなく悪魔でもなく、マガタマを得て魔の力を得た人間である。一度「魔人」となったものは、もう二度と人間には戻れない。新たなマガタマを得て、さらに強くなる修羅の道が待っている。悪魔からは「人修羅」と呼ばれて警戒されている。外見上は、人間の面影を残し体中に隈取り模様のようなものが浮き出た姿になる。望むならば、能力を発揮しないときは人間変身スキルによって元の外見に戻ることもできる。魔人の存在は魔界都市に固有のものであるらしく、魔界化の秘密と深い関係にあるのかもしれない。戦い続けたその果てに、新たな世界の創世者となる資格を有するという説もある。
誰が創り、広めたのか、誰が人間に与えたのか、マガタマの真実は分からない。マガタマの総数は8個とも16個とも108個とも言われている。若干の区別が付けられ、魔界都市化の初期の頃に確認された基本マガタマ、より強力な力をもたらす上級マガタマ、存在だけが噂される幻のマガタマなどがある。その他に、マガタマに類似しているが公式には確認されていないExマガタマというものもあるらしい。