★組織
産官学共同プロジェクト「K.A.D.O.」の主導する組織や、その他の独立団体など、いくつかの組織が
魔界都市に存在している。
自警団「EMONHU」（中京区）
悪魔との抗争で従来の警察組織は崩壊した。残された警察官は自衛隊の残存勢力などと合流し、人間の自警団を組織した。壬生寺周辺を拠点としている。見つかる限りの武器をかき集めたため、ヤクザからの押収品や自衛隊装備品、美術品扱いの古刀など、種々雑多な武器を所有している。前歴を問わず、人間を守る意志が強く、悪魔と戦えるだけの戦闘力があれば誰でも参加できる。たとえ悪魔でも。つまりは、京都市全てを守るためには、いつも人材不足ぎみである。
訓練機関「ZENDERA」（左京区）
「EMONHU」直属の人材養成機関。南禅寺周辺に拠点を持つ。悪魔に対抗するために、肉体・精神の両面に渡って過酷な訓練が施される。精神の収容に、禅の修業のノウハウを活かしていることから、この名称がついたとも言われるが、定かではない。
京都日報（中京区）
私立の紙メディア情報発行者。記者魂を持った硬派な新聞記者が頑張って記事を書いており、大事件や危険地域情報などを報道している。
太秦テレビ（右京区）
魔界都市化の前はローカルな話題を扱うケーブルテレビ局だった。魔界都市化でテレビ電波を受信できなくなったため、報道メディアとして重視されるようになった。主なプログラムはニュース番組である。また、東映撮影所と提携を組み、貴重な映像資料を活用して古い映画やテレビ番組を再放送している。
洛北大学（左京区）
学生や教官の大半が避難し、教育機関としての大学は機能停止した。しかし、研究機関としては、魔界都市化以前よりもむしろ活発となったかもしれない。熱心な研究者が残り、企業とも協力して新技術や魔界化原因の研究をしている。理系研究者だけでなく文系研究者も、各専門分野の見地から悪魔と魔界化について研究・調査している。中には、フィールドワークを重視して積極的に悪魔と接触しようとする民俗学者もいるらしい。
人間堂（南区）
歌留多、花札、トランプなどを製作している会社。昭和末期には、家庭用コンピュータゲーム機器で一世を風靡した。魔界都市化以後は、携帯用ゲーム機器の技術を転用して、ウェアラブルコンピュータを開発した。ゲームの分野でも新作ソフト「デビルバスター」を発売し、ヒットしている。このソフトには、市外へも輸出され世界的大ヒットとなっているとか、対悪魔能力開発ソフトであるとか、さまざまな噂がある。最近では、カードと携帯ゲーム機器の技術を組み合わせて「悪魔カード」読み取り装置を開発した。この装置を適性者が使用すると「チャネラー」と同様の悪魔変身スキルを使えるらしい。
川津製作所（中京区）
明治時代より続く精密機器メーカー。魔界瘴気濃度計測装置と仲田式デビルアナライズ装置が最近のヒット商品である。従来は悪魔の姿形から判別していたデビルアナライズであるが、仲田式では悪魔にレーザー光を当て、反射スペクトルをデータベースと照合して悪魔の種族を識別できる。この装置の登場で、一気に分析性能が飛躍した。悪魔と戦う人間たちにとってはノーベル賞級の発明であった。他には、一部のマニアにしか知られていないが、ウェアラブルコンピュータと接続するHMD（ヘッドマウントディスプレイ）も製造している。
GS電池（南区）
かつては自動車などに搭載する蓄電池GSバッテリーを製造していた。悪魔出現以来、新方式のバッテリーを研究し続け、ついに悪魔の持つエネルギー「マグネタイト」を電気エネルギーに変換するDMバッテリーを開発した。また、マグネタイト自体を効率よく保管するマグネタイトバッテリーも発明している。いずれも現在の魔界都市には欠かせない製品である。
ヨツビシ自動車京都工場（右京区）
市内にある唯一の自動車製造工場である。ガソリン自動車が滅亡して、いったんは操業停止に陥った。DMバッテリーが発明されてから、それを使った電気自動車の開発を始めた。まだ試作車数台を出荷したのみであるが、再度自動車を手に入れた便利さに、市民からは増産希望の声があがっている。
酒造組合（伏見区）
一部の悪魔は酒を好む。しかし、悪魔は酒を造らない。そのため、人間の存在が重要視された。最初のうちは略奪することもあったが、それでは継続して供給できないことに気づいたため取引するようになった。今は、悪魔との重要な交渉材料として、酒作りが人間の機関産業の一つになっている。伏見では、昔ながらの酒造りが続けられている。なお、材料については、地下水を水源とする銘水と特約農家で栽培された米を入手しているらしい。
自衛隊「Z部隊」（西京区）
魔界化初期に悪魔と交戦した桂駐屯地の陸上自衛隊は、しばらくして三つに分裂した。最も過激な一派は悪魔との徹底抗戦を主張し、桂駐屯地で戦力の再整備をしつつある。Z旗を掲げ、いつか全てを賭けた総攻撃に出るという意味で「Z部隊」と名乗っている。穏健派は、悪魔との戦いは自衛のための最小限にとどめ、攻めるよりは守りを重視して「K.A.D.O.」の自警団と合流した。悲惨だったのは、悪魔の力を利用しようとした部隊である。実験兵器が暴走し、部隊は全滅。一部の兵士は死亡した後も、アンデッド悪魔（幽鬼）となって魔界都市を彷徨っている。
米軍京都分遣隊（伏見区）
魔界都市化を察知した米軍は人道支援を名目にして、悪魔調査のための特殊部隊を京都に派遣した。京都市南端の淀周辺、京都競馬場を接収して駐屯地にしている。最新の対悪魔装備を持つわけでもなく、魔術師というわけでもないのに、悪魔と対抗できる兵士たちの強さの秘密は謎に包まれている。
魔界都市となった京都では二大宗教が勢力を伸ばしつつある。唯一神を信仰し、神の名の下の平和と安定を望むメシア教。自由と混沌を教義とし、大地母神や世界各地の諸神を信仰するガイア教。
メシア教は御所の西側にある教会を拠点とし、西陣地区に勢力を持っている。天使ドミニオンが降臨して統率している。多くのメシア教徒は、この魔界都市化は神に与えられた試練であり、この苦難の中にこそ救世主が現れると信じている。一部のメシア教徒は密かに「メシアプロジェクト」を進行させ、人工的に救世主を生み出そうとしている。
ガイア教徒は悪魔との共存を試みている。主流派は伏見桃山城を拠点とし、力を絶対視する弱肉強食の世界を望んでいる。ときおりメシア教徒と抗争を起こし町中で暴れたりするのは、主流派の方である。二条城にはガイア教分派の平松が陣取っており、強者が弱者を守り支配するサムライの世界を目論んでいる。
カオス悪魔の勢力としては、八坂神社のスサノオ、千本焔魔堂のヤマ、京都駅ビルを拠点とするシュテンドウジなどがいる。ただし、高レベル悪魔は拠点からほとんど移動することが出来ず、実際には部下たちが活動している。
鞍馬山のクラマテング、神泉苑のリュウなどはロウにもカオスにも加担せず中立を保っている。