第２話「万聖節前夜に星が輝く」

＄オープニングフェイズ
■遠藤あてみ（PC2）の勧誘
　前回のエンディングで峰良太（PC1）をUGN支部、花屋「カリオストロ」に呼び出した遠藤あてみ（PC2）。案内したあてみは、UGNに勧誘した。峰良太（PC1）はメリットとデメリットをきちんと理解し、UGNに協力することを同意したのだった。

■峰良太（PC1）のルーツ
　兄の大地が洛北大学の近くに下宿するということで、峰良太（PC1）も引越しの準備を手伝っていた。荷物の中から一冊の同人誌が落ち、メモが挟まっているのを見つける。「山住＝山の神に仕える一族？　峰もこの傍流」という兄の手書きだった。良太（PC1）は特に追及せずに、そっと戻しておくのだった。

■蔵木秘愛子（PC3）への指令
　蔵木秘愛子（PC3）は平歯重工で、試作品の対オーヴァード用戦闘スーツの実戦試験を監視するように命じられる。場所は奈良県K市、前回訪れており、ある程度土地カンのある秘愛子（PC3）に任せられたということか。被験者は山希鉄雄という男だ。蔵木秘愛子（PC3）は急いでK市に向かった。

■遠野ユウ（PC4）に相談
　UGNのK市支部長、城山洋は遠野ユウ（PC4）に相談していた。城山はUGNの戦力が減少したことを愚痴り、正直逃げ出すかもしれないなどと情けないことを言う。遠野ユウ（PC4）は、まだ踏みとどまる気があることを城山に確認した後、彼に共感し、慰めるのだった。

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■文化祭近づく
　峰良太（PC1）に中学時代の友達の川尾健から電話がかかってくる。「八雲学園の文化祭に遊びに行くから、かわいい女の子を紹介しろよ」と。紹介の件はおいといて、文化祭に来ることについては峰良太（PC1）は快く頷いた。
　八雲学園で放課後、文化祭の準備をしていると、何故か峰良太（PC1）を気に入っているらしい山住朱子が「文化祭に姉が来るので、良太（PC1）を紹介したい」と言ってきた。峰良太（PC1）は特に問題ないと頷いた。

■ドラゴンナイツの噂
　遠野ユウ（PC4）は川尾健の悩みを聞いていた。川尾健は友達がいて文化祭に誘ってもらったのだが、同じ日に町でやるバンドも見に行きたいらしい。流行のコンピュータRPGのキャラに扮しているインディーズバンドで「ドラゴンナイツ」というどこかで聞いたことがある名前だ。その音楽はレネゲイドロックというらしい。遠野ユウ（PC4）は、どうもきな臭いバンドだと感じ、文化祭に行ったほうがいいと勧めるのだった。

■復讐の鬼、レネゲイドハンター
　遠藤あてみ（PC2）がUGN支部を出ると、かつて、自分の失敗で滅んでしまった町の生き残りの山希鉄雄に出会う。「腹腹時計」事件の後にUGNが生存者の記憶を操作したはずだったが、何故か記憶が消えていないようだ。物々しい戦闘スーツを着て「レネゲイドハンター」を名乗り、オーヴァードは化け物だから皆殺しにすると主張する。事件のときに妻子と妹を失って、復讐の鬼となってしまったのか。遠藤あてみ（PC2）は山希鉄雄と少し話した後、説得は不可能だと判断して背中に何発か銃弾をくらいつつ逃げ出したのだった。山希鉄雄は追おうとするが、監視していた蔵木秘愛子（PC3）が「街中で派手に暴れるのはまずい」と言って押しとどめた。ちなみに城山洋支部長は花屋「カリオストロ」の中で震えているだけだった。

■父の旧友
　蔵木秘愛子（PC3）が町を歩いていると知り合いに会った。幼い頃に良くしてくれた父の友人、城戸涼平だった。城戸はオーヴァードになっているらしく、明らかに不審物を所持しているのに道行く人は誰も気づかない様子だった。蔵木秘愛子（PC3）が話しかけると、城戸がFHのテロリストグループ「ブラッドエンジェルズ」の一員らしいことがわかった。秘愛子（PC3）の父、蔵木誠造が共産主義を追いかけ続けているのに対し、城戸涼平はFHに所属し、「オーヴァードによる新たな理想社会の実現」を思い描いているらしい。この町でも何かしようと企んでいるらしい。城戸は蔵木秘愛子（PC3）に「同志になれ」と誘った後、父親の蔵木誠造が生きて国内に居るという情報を言い残して去っていった。
　蔵木秘愛子（PC3）は自分の仕事について、自分の権限では知る必要のない情報、説明されていないことまで調べ始めた。すると、復讐に燃えて体を鍛えていた非オーヴァードの山希鉄雄を被験者としてスカウトしてきた人物に、秘愛子（PC3）の夫である真砂敬次の名が浮かび上がってきた。

■DSGの胎動
　八雲学園で文化祭の準備をしている峰良太（PC1）の元にぼろぼろの制服を血で染めた遠藤あてみ（PC2）が転がり込んでくる。レネゲイドハンター山希鉄雄に襲われたことを説明し、良太（PC1）に注意を促した。その後、他の生徒がいない屋上にあがって、今後について話す事に。襲ってくるなら撃退するべきだ、と主張する峰良太（PC1）に、あてみ（PC2）は「撃たないと決めた」と言い、何とか説得の手段を考えるが思いつかない。そこに遠野ユウ（PC4）が現われ、迷える二人に助言を行った。そして、山希鉄雄を呼び出すため、蔵木秘愛子（PC3）に連絡したのだった。遠藤あてみ（PC2）は平和的解決手段に何故か頭痛を覚えたが、何とか押さえ込んだ。
＃ロールプレイがうまい。すでにプレイヤーは真人格覚醒、ジャーム化への伏線を張っていたかのように見える。

■ショットガンと説得
　蔵木秘愛子（PC3）は山希鉄雄を八雲学園裏手の古墳近くに呼び出した。峰良太（PC1）たちが見守る中で、あてみ（PC2）は《ハンドレッドガンズ》でショットガンを作リ出す。いきなり交渉決裂かとざわめく。秘愛子（PC3）が見つけてきた山希鉄雄の妻の形見のオルゴールペンダントを見せて、優しい心を引き出そうとする。遠野ユウ（PC4）が《導きの華》で支援して、何とか説得は成功した。山希鉄雄は「復讐を止めて、戦う以外の選択を見つける」と言って去って行った。

■ブラッドエンジェルズの情報
　遠野ユウ（PC4）は「腹腹時計」などについて情報収集をした。UGNが「腹腹時計」と呼んでいるテロリストは「ブラッドエンジェルズ」という名前で、リーダーが“ルビーハンド”一宮純ということが分かった。ブラッドエンジェルズはドラゴンナイツのライブの前座で演奏することがわかっていたので、レネゲイドロックはまずかろうという名目でUGNを差し向けることにした。

■加虐の宴（マスターシーン）
　UGN支部による妨害はFHの防御と相殺され、K市ショッピングモールの特設会場でフリーダムヘブン（FH）がプロデュースするライブは無事に開始された。ブラッドエンジェルズの演奏はそれほどではない（メンバーの３人が《従者》のため）。メインのドラゴンナイツの演奏が始まった。個性的なパフォーマンスで盛り上がる。
　３曲目くらいで、バンドメンバーに知らされていなかったパフォーマンスが始まった。エンジェルハィロウのエフェクト《ミッドナイトシネマ》によって、上空に動画が映し出される。内容は、UGNが病院を襲撃したり、少年や少女が異形の姿に変身して戦ったりするもの。一般人にオーヴァードへの反感を植え付けるよう、悪意をもって編集されている内容だった。同時に謎の紅い宝玉が生まれ、観客たちに吸い込まれていった。一宮純がEロイス「加虐の宴」を「傲慢な理想」２つでシーン全体に拡大してかけたのだ。
　そして、誰かが化け物を倒せと言い出すと、観客達は会場を出て暴動を開始した。向かう先はUGN支部のある花屋「カリオストロ」や化け物少年のいる八雲学園など。

■八雲学園の文化祭
　10月31日、万聖節前夜の日に八雲学園の文化祭が開催された。山住朱子の姉、山住祐希子が訪ねてくるが何故か峰良太（PC1）の兄、大地が一緒にいる。話を聞くと、洛北大学のサークル大文字会で出会い、峰大地と山住祐希子が付き合っているらしい。しかも、引越し直前の無愛想な態度が嘘のように、良太（PC1）に対しても朗らかである。山住朱子が何か意味深なことを言っていたが、良太（PC1）やあてみ（PC2）にはよくわからなかった。ただ、恋愛感情の他に何かあるらしいことがわかった。

＄クライマックスフェイズ
■恐怖の人間爆弾
　町で暴動が起き、暴漢達が八雲学園に襲ってくる。状況がつかめずちょっと手間取ったが、学校以外の暴動についてはUGN支部が何とか対処していた。
　PCたちは協力して、八雲学園を襲った「ブラッドエンジェルズ」リーダー“ルビーハンド”一宮純、狙撃手の城戸涼平と暴漢６グループを倒したのだった。エネミーエフェクト《フレイムディザスター》により校舎を焼き尽くそうとしたり、無辜の市民を人間爆弾にしたりと敵はかなりの外道だった。まぁ、FHのテロリストはオーヴァードとして覚醒することが出来ない人間は生きている価値がないと本気で思っている様子だったので、それもしょうがないのだろう。《縮地》を使って、上手く攻撃の届かないところに行った遠野ユウ（PC4）が印象的だった。
　しかし、学園に居合わせた峰大地とバンド会場から敵を追って来たらしい山希鉄雄が敵の攻撃に巻き込まれ死んでしまった。

　戦いの後、山住姉妹が峰良太（PC1）を何か重要視しているらしい発言があった。それによると、峰大地が死んでしまったことにより、良太（PC1）が山住姉妹的には重要なポジションになったらしい（元から重要だったが、代わりがなくなった？）。山住姉妹はワーディングの中で動けていたのでオーヴァードのようだったが、彼女たちの間では独自の呼称があるらしく、最初はうまく通じなかった。
　テロリストとの戦闘後、高校生たちが良太（PC1）たちを化け物と呼んで周りを取り囲み、石を投げてきたので、遠藤あてみ（PC2）がワーディングを張った。しかし、クラスメイトたちの罵倒と兄の死は、良太（PC1）の心を深く傷つけたのだった。また、ワーディングの中でも当然のように飛ぶ鳩を発見する。この鳩は今までの学校のシーンでも常に描写され続けており、何者かによる監視だと思われた。

＄エンディングフェイズ
■ハンターに花束を
　遠藤あてみ（PC2）は山希鉄雄の墓参りに行った。「山希は死んだかもしれないが、心の中で生きている」ということを城山洋支部長が言ってくれた。だが、UGNのK市支部、花屋「カリオストロ」は暴動の焼き打ちにあい、拠点を失ってしまったのだった。

■ロンドンより愛を込めて
　蔵木秘愛子（PC3）は待ち伏せしていた探偵Bから、恩師フィン・ブーストロイドの手紙を受け取った。フィン・ブーストロイドはこの手紙を書いた後、失踪したと聞く。
「この手紙が無事に届けられることを切に祈る。私は何という組織に手を貸してしまったのか。取り返しのつかないことをしてしまった。八幡グループがかのような恐ろしい存在であったとは。私がかつて仲間と共に戦ったナチスドイツよりも危険な存在だ。世がいくら移り変わろうと科学技術を悪用する輩はいるものだ。　せめてもの償いに、教え子たちの中で良識の残っている者にこの手紙を書くことにする。止めろ、八幡グループの暴威を止めてくれ」
　手紙を読んで平歯重工の危険性を知ったものの、自分ではどうしようもないとの感想を持つのだった。これとは別に、蔵木秘愛子（PC3）は探偵Bに父親の消息の調査を依頼した。

■記憶探索者
　峰良太（PC1）は兄、大地の死を悼んでいた。それを見た遠野ユウ（PC4）は、新たな能力Ｄロイス「メモリダイバー」に目覚め、昇華された大地のタイタスをロイスに戻して「彼は君の記憶の中で生きている」と言った。
　事件は解決したものの、峰良太（PC1）のせいで両親も暴動に狙われてしまった。身の安全のため逃げ出すことになった。遠野ユウ（PC4）のコネクションの力を借りて、両親を安全な場所に避難させた。峰良太（PC1）は山住朱子の好意に甘えて、山住家の別荘にやっかいになることになった。

■サイボーグ戦士（マスターシーン）
回収された山希鉄雄の遺体は平歯重工の研究所でサイボーグとして蘇生手術を受けていた。彼が次に現われるとき、それは敵としてなのか、味方としてなのか誰もわからない。

崩れていく日常。加速する現実。PC達の未来はどうなるのか。 ダブルクロス、――それは裏切りの言葉。

＄GMコメント
　第２話のテーマは「一般人の悪意」でした。UGNに反感を抱くレネゲイドハンターと、扇動される一般人。どちらも正面から戦って倒すことのできない厄介な相手です。加えて、上級ルールブックを読んで使いたくなった人間爆弾ネタも使いました。FHテロリストの仕業とはいえ、かなり非道だったと思います。敵NPC設定は遠藤あてみ（PC2）の設定を膨らませました。ドラゴンナイツ（前期ソードワールド2.0キャンペーンのPC）は友情出演ということで。

【トレーラー】
わだつみ城、それは太平洋上に浮かぶ孤島。情報を入手した少女たちは、FHの秘密基地へと向かう。トラップをかわし、通路を駆け抜け、重要拠点に辿り着けるのか。そこでの出会いは何をもたらすのか。少年は人間の宿業を目にする。
『ダブルクロス The 3rd Edition』　第３話「太平洋、涙色に染めて」
ダブルクロスーそれは裏切りを意味する言葉。

第３話「太平洋、涙色に染めて」