第６話「レネゲイド・ゲーム」

＄オープニングフェイズ
■ヒーローの悩み相談
　“ユア・フレンド”遠野ユウ（PC4）はアメリカに来ていた。スパイダーマンが孤独なヒーロー業に悩んでいて、その相談にのってやった。次は、クラーク・ケントだ。しばらく留守にしていて米国に帰って来たら、昔の恋人がシングルマザーになっていて、どうしよう。と。息子がオーヴァードだったら、自分が父親の可能性も考えた方がいいと的確なアドバイス。三人目は、オーヴァードでない鍛えた一般人のヒーロー。年齢による衰えと、オーヴァードの時代に引退を悩むバットマンに「財力と組織力で支援にまわると良い」と助言する。

■テロリストの旧友
　蔵木秘愛子（PC3）はUGNの休暇に、父親が旧友に会うというメキシコ・アメリカ旅行に同行していた。メキシコの元活動家と会ったり、射撃訓練場に行ったり。カリフォルニアでは未来から来た殺人マシンが改心したという噂の州知事に会ったりしていた。

■査問委員会
　遠藤いすか（PC2）は人類抹殺計画の件で、アメリカの査問委員会に呼び出された。UGN日本支部長の霧谷と一緒に出席する。本人には罪はないと判断され、無事に終えて、一日の休暇を得た。

■家族旅行
　峰良太（PC1）は受験勉強の息抜きにと、父親の峰真が福引きで当てたGWハリウッド・ラスベガスツアーに家族三人で参加した。
　そんな感じで、全員がラスベガスにやって来た。

＄ミドルフェイズ
■完璧な頭脳の挑戦
　ラスベガスでばったり出くわす４人。旧交を温めていると、突然ワーディングが張られる。峰良太（PC1）の家族ら一般人だけでなくUGNの霧谷らも無力化された。都市伝説から生まれたレネゲイドビーイングの長兄にあたる天宮ノウが「遠野ユウ（PC4）と仲間たち」に挑戦してきたのだ。
「人間を研究してきてわかった。人間の好きなものはゲーム、ギャンブル、歌だ」と言い、無理やりに「レネゲイド・ゲーム」に参加させようとする。家族たちを人質にとられて、拒否できない。審判は、中立的立場の内原ゴウが務めるらしい。

　既にEロイス「虚実崩壊」の特殊ルールの世界に取り込まれている。天宮ノウが「お前のロイスを数えろ」と言うと、PCのロイスがチップに変換された。これから３つのステージを戦い、各ステージごとに精算し、損失があった場合はロイスを自ら削除することになる。

■ステージ１「大岩並べ」
　最初の種目は「大岩並べ」という名目の、実質は三目並べ。対戦者は“境界の守り手”テツ（牧村徹平）、まるでルナル世界のジェスタ信者のように斧と盾を装備した体格のいい男だ。大岩が重いとか、地雷が埋まっているとか、条件はあるけれど、肉体派の峰良太（PC1）とテツは両者ゆずらずミスをしない。つまり、普通の三目並べでは勝者なしという事態に気付いたPCたちは損失を最小にするために、パスをしてわざと敗北した。
レネゲイドゲームは裏切りのゲーム。峰良太（PC1）は罠にはめられた。

勝者：テツ
精算：チップ３枚の損失（ロイス１つ削除）

■ステージ２「21ポーカー」
　次の種目はA,K,Q,J,10の各4枚とジョーカーの計21枚で行なうポーカー。対戦者は香港の伝説のギャンブラーの記憶を継いだレネゲゲイドビーイング、“賭神”コウ・ユンファの登場だ。PC代表は蔵木秘愛子（PC3）。
　１ゲーム目はユンファが先手、チップ１枚賭けて秘愛子（PC3）はコール。“賭神”ユンファはジョーカーだけ残して４枚チェンジ。ストレートができた。秘愛子（PC3）はノーチェンジ。２枚上乗せした“賭神”ユンファに対し、秘愛子（PC3）は一気にレイズして脅す作戦に出た。様子見でエフェクトを使っていなかったユンファは剣幕におされてフォルド。秘愛子（PC3）がチップ３枚獲得。
　２ゲーム目は“賭神”ユンファも本気を出してきた。カード交換後にイカサマで偽造して、J,J,J,K,AのKをJに変えたフォーカードを作った。秘愛子（PC3）もイカサマでAのファイブカードを作った。賭け金は上限のチップ10枚。どちらのイカサマも見破られなかった。だが、手札をオープンしてみれば、Aが５枚ある。
「どっちかがイカサマしたんだ！」　ざわ・・・。
　審判の許可が出て、武装ポーカーが発動した。武力でイカサマを押し通していいという特別ルールだ。秘愛子（PC3）が《赤方偏移世界》で行動値を上昇させて先手を取り、切り札のDロイス「超侵蝕」も使って確実に“賭神”ユンファを倒した。レネゲイドゲームは裏切りのゲーム。裏切られたのはGMの思惑だった。

勝者：蔵木秘愛子（PC3）
精算：チップ13枚獲得

■ステージ３「歌合戦」
　場所をプールサイド特設ステージに移動して、三番目の種目は歌合戦。PC代表は遠藤いすか（PC2）、対戦者は“ルフテ・ジンガー”香坂真奈、第５話で神への反逆者に勇気を与える「くじけない歌」を歌っていた歌手だ。
　ところが、香坂真奈は《電光石火》＋《コンセントレイト》を使ったハズが、GMのダイス目がクリティカルしない。〈芸術：歌唱〉10レベルで何とか達成値17。一方で、遠藤いすか（PC2）はダイス目だけで達成値17。なんでやねん。レネゲイドゲームは裏切りのゲーム。悪どいこと考えるとダイス目に裏切られる。
勝敗は、引き分け。しかし、チップ差は大きいけれども、一勝一敗一引き分けの五分。この結果を理由に、天宮ノウが強引に次のステージを主張した。人質をとられているので、逆らうことができない。

＄クライマックスフェイズ
■男たちの挽歌
「人間の好きなものがもう一つあった。それは戦闘、バトルだ」
場所をスタジアムに移動して、ファイナルステージ開始。観衆の見守る中、見せ物戦闘が始まった。対戦相手は、先ほどの３人と天宮ノウ。
撃破役“賭神”コウ・ユンファ、モルフェウス／ノイマン
制御役“ルフテ・ジンガー”香坂真奈、ハヌマーン／ソラリス
防衛役“境界の守り手”テツ（牧村徹平）、バロール／キュマイラ
支援役“パーフェクト・ブレイン”天宮ノウ、ノイマン（ピュア）

＃３人はPCたちと同程度の経験点で作成されたキャラクター。レネゲイドゲームの種目で勝つための能力を持たせたので、戦闘特化しているわけではない（思惑と異なり、勝てなかったけど）。クライマックスでの侵蝕率は100％固定で、リザレクトしない。タイタス蘇生がない代わりに生命増強１レベルずつ取得。天宮ノウは生命増強２レベル。支援しかしない。というレギュレーションであった。

　１ラウンド目は、テツが《孤独の魔眼》《軍神の守り》、メジャーアクション放棄によるカバーリングと、PC３人の攻撃を一人で受けて守り切った。２ラウンド目、遠藤いすか（PC2）の攻撃を《時の棺》で止めたのが最後で、テツは倒れた。香坂真奈のシーン攻撃《サイレンの魔女》をくらって、蔵木秘愛子（PC3）が《鏡の盾》で反撃しつつ倒れた。防衛役がいなくなり、峰良太（PC1）の攻撃で香坂真奈を倒す。あと、PC側３人、NPC側2人。
　３ラウンド目、完璧な頭脳による戦術で、遠藤いすか（PC2）のユンファへの攻撃を天宮ノウがカバーリングして耐える。だが、ここで計算に狂いが生じた。キャンペーン第５話まで支援に徹していた遠野ユウ（PC4）だったが、天宮ノウの非道っぷりに怒り心頭に達したのか。素手パンチ！　《狂戦士》《導きの華》の効果で見事にヒット、《力の法則》でダメージを増やして、天宮ノウをぶっとばした。峰良太（PC1）が最後に残ったコウ・ユンファを斬り裂いて終了。ただし、男はただでは倒れない。《ラストアクション》で最後の一撃、コンボ「男たちの挽歌・最終章」の銃弾が峰良太（PC1）と遠野ユウ（PC4）を倒した。
　最後に立っていたのは只一人、遠藤いすか（PC2）だけ。審判が遠藤いすか（PC2）の手を高々とかかげてPC勝利が確定した。戦闘前の約束通り、削除していた峰良太（PC1）のロイスも返ってきた。
　ダブルクロス、それは裏切りを意味する言葉。パーフェクトな計算は支援役の、まさかの素手パンチによって裏切られた。

＄エンディングフェイズ
■第二、第三のレネゲイドビーイングが・・・
　ノイマン（ピュアブリード）のはずなのにオルクスのエフェクトを使用しておかしいと思うと、フィン・ブースロイドが天宮ノウは複製体だったことを指摘した。調査によると、平歯重工はクローンを複数作っているらしい。さんざん危険性が指摘されており、今回のことで重い腰を上げたUGN日本支部は平歯重工を調査することにした。蔵木秘愛子（PC3）たちの新たな任務である。今回の事件で責任を感じた遠野ユウ（PC4）も積極的に協力することにした。

■二度目の挑戦
　アメリカ旅行も無事に終えて帰国し、また冬がやって来た。秋に大検を受けて合格した遠藤いすか（PC2）、記念受験とか言って試験を受ける蔵木秘愛子（PC3）、一浪の峰良太（PC1）の３人は洛北大学の入学試験に挑戦する。
　《要の陣形》があと１回残っていたと、遠野ユウ（PC4）が試験前に３人を支援した結果、全員合格。達成値26ならばトップで入学だと峰良太（PC1）は入学式挨拶をすることになった。レネゲイドの存在が知らされたり、悲惨な事件も起こったりしたけど、未来に向けて希望を持った挨拶をするのであった。

ダブルクロスーそれは裏切りを意味する言葉。しかし、裏切らないものが一つある。それは真の友情だ。

『ダブルクロス The 3rd Edition』キャンペーン「World Enemy　3」 これにておしまい。

＄GMコメント
　前回が最終回だったので、今回は雰囲気を変えて番外編。プレイヤーの指摘通り『ライアー・ゲーム』が元ネタです。ジョジョネタで、魂を賭けたギャンブル（の発展バージョン）をやてみたかっただけ、とも言う。エンディングの支援＆受験成功は、キャンペーン全体を象徴するようなシーンでした。友情パワーによる勝利（締めの言葉は『キン肉マン』の受け売りですみません）。ユウの影響を受けて、内原ゴウがいい奴になってきたのが印象的で、つい友情パワーという言葉が出ました。
　ともかく、プレイヤーの作った設定から生まれたPCとセッション中での掛け合いで、NPC設定がどんどん深まり、ひとりでに動き出した感のあるキャンペーンでした。こいつが次は何やるのか、ワクワクしてました。
　最後に、一人の欠席も一度の休会もなくキャンペーン全７回（６話）を無事に終えられたことに感謝します。