第１話「賢王・魔神」

＄プロローグ
■計画の始まり
――紀元前4世紀
　アレクサンドロス大王の訃報を聞いたアリストテレスは、テクノイオンに完全なる世界を実現させるためにアレクサンドロス大王の生まれ変わりを探すように指示する。それから二千数百年が過ぎた。20世紀初頭、バベッジ式差分機関の噂を聞き、魔術師ハインリヒ・イザークと共に戦うも敗北。英国フリーメイソンに捕えられて、封印された。それから数十年経ち、英国フリーメイソンの拠点をナチスの超人兵士“光速の達人”リヒテル津田が襲撃した。フリーメイソンの混乱の隙をつき、テクノイオンは脱出した。

■ナイトヘッド
　御子柴文彦は由緒正しい貴族の家に生まれ、将来は政治家になろうと本人も両親も熱心だった。しかし、反独派の文彦は親独派だった父に反発していた。そして1936年。二・二六事件にて文彦は凶弾を受け死亡した。しかし、医者の米原徹二により一命を取り留める。それからというもの、御子柴文彦は不思議な力が使えるようになった。しかし、力を持ったことによりますます疎まれてしまい、ついには勘当されてしまう。そして文彦は世界中を当てもなく彷徨う、大陸浪人となった。

■世紀王の候補者
　ヨハン・イザークは日蝕の日に生まれた。生まれてすぐに家が闇に包まれ、両親が気付いたときには行方知れずになっていた。そして、「親に捨てられたところを拾われた」と聞かされ、オーストリアで一流の魔術師ハインリヒ・イザークのもとで魔術師になるために修行していた。修業を終えて旅立つ日、師匠はヨハンに「ソロモンの指輪」を探すように言う。そのため、イデア理論で動く機械を探せ、と。ハインリヒ・イザークはヨハンに謎の六面体を渡した。そして、ヨハンはギリシアへと向かった。

■デモンパラサイトの家系
　アリシア・ロックフィールドは呪われた家系に生まれた。最初は待ち望まれていたが、奇妙な能力を持っていたために疎まれた。しかし、MI6にスカウトされて、一人前のエージェントに成長していた。そして今日も任務を受ける。元ナチスの超人兵士アドルフ・ハイゼンベルクと共にナチスの輸送列車を襲い、その中にいる情報士官に接触して「ヴォータン計画」についての情報を入手するというものだ。

■放浪妖精
　フラウ・オクセンフェルトは氷を作る能力を持ち、ひけらかしていたために親から疎まれていた。だが、兄ハンス・オクセンフェルトだけは「フラウは優れた能力を持っているんだ」と言ってフラウを庇っていた（内心では、兄より優れた妹などいないと思いつつ、それが明らかになるのは後日のこととなる）。
　フラウは家出して、アーネンエルベに拾われた。強化措置を受けるが、アーネンエルベの裏を見て怖くなり、脱走した。ドイツにいれなくなり、スイスに行くものの、路銀が尽き、行き倒れた。次に目を覚ました時は山小屋だった。アーデルハイドおばさんに助けられたらしい。その後、フラウはしばらくアルムの村に厄介になる。

＄オープニング
■王女が空から落ちてくるのは定番ネタ
　ドイツへ向かう飛行船のある一室にて、14歳の少女ジュリアと、20歳の女カメリア・クーゲルフェルトが対面していた。カメリアはジュリアに「ソロモンの指輪」について聞き出そうとするが、ジュリアは黙るのみ。その後、カメリアが席を外した隙をついてジュリアは部屋から脱走した。飛行船の外側を移動している時に足を踏み外し、墜ちてしまう。しかし、墜ちている途中でジュリアの背中から羽が生え、減速していく。一方、地上ではフラウが空を見ていた。飛行船が北上している所を見ていると、羽が生え、特徴的な指輪を身に着けている少女が墜ちてくることに気付いた。フラウは少女を助け、アーデルハイドの小屋に連れていく。ジュリアは目を覚ますと、「国に帰らないと」と言う。ナチスから追われている境遇に共感したフラウはジュリアを連れ、彼女の出身国――中東のアスラン王国へ向かうことにした。

＄ミドルフェイズ
■牢内での出会い
　御子柴文彦がハンガリーを旅していると、超人兵士の素質があると言われナチスに捕まる。そして牢に入れられ、列車でドイツへ運ばれる。牢には他に２人の人物が捕えられていた。1人はサリー・フェブラリーという香港出身の自称20歳の女ジャーナリスト。もう１人はグスタフ・シラーという50歳の男だった。フェブラリーはソロモンの指輪に関する情報を求めてアスラン王国の王女を探しているところをナチスに捕われたらしい。グスタフは羅盤を持って息子（ヨハンのこと）を探していて、ナチスに捕われたらしい。

■超人兵士で一番の小物
　一方、ハンガリー発の列車がオーストリアに入った頃、アリシアとアドルフが列車に乗りこもうとしていた。列車の屋根の上では“防御の達人コマンデュール・ゲルマン”ステファン・ヘルリヒが防衛していたが、アドルフがステファンを引きとめている間にアリシアが潜入する。情報士官を気絶させ連れ出す。アリシアは御子柴文彦ら3人を見つけ、助け出す。そして列車を停止させて脱出する。そのとき、御子柴は超人的な聴覚により、アドルフとステファンが列車の屋根から谷底へ落下したことを知った。アドルフのことを一度おいて、民間人のグスタフ・シラーを解放した後、士官に尋問をする。絶対に口を割らないという士官に対して、アリシアは《異能の指先》の能力を使い「ヴォータン計画」についての情報を入手した。

　「ヴォータン計画」とは、不死の王を生み出すための計画である。そのため、中東とミッドガルドの調査を行っていた。彼は中東担当であり、ソロモンの指輪を狙っていたという。なお、ミッドガルドのことは分からなかった。フェブラリーはソロモンの指輪とアスラン王国のことを話し、アスラン王国へついて行こうとする。列車の牢内で「ここから脱出したら取材を手伝って欲しい」という頼みを聞き入れていた御子柴は了承する。かくして3人はアスラン王国へ向かうのであった。

■ギリシアでの出会い
　ヨハンはギリシアでテクノイオンと出会う。ハインリヒ・イザークとソロモンの指輪のことを聞いたテクノイオンはローズ協会でソロモンの指輪について調べる。すると、ソロモンの指輪はジュリアというアスラン王国の王女が持っており、ナチスに捕われていたものの、脱走したらしいことを知る。ジュリアを探そうと作戦を立てていた2人の元に、ジュリアらしき人物が超人兵士の少女と共にギリシアの駅で行き倒れているという報告が入った。

　すぐさま２人の少女を保護して事情を聞く。すると、超人兵士の少女はフラウと名乗り、ナチスからの脱走者ということが分かった。一方、テクノイオンがソロモンの指輪を調べる。この指輪は多くの悪魔を封印し使役できると分かる。そして、ジュリアが追加で情報を話す。ソロモンの指輪は継承者が変わった時に、アスラン王国の「エリア８」にあるソロモンの洞窟で封印の儀式を行わないといけない。封印の儀式を行わないと、洞窟に封じられている悪魔が解放され、大変な事態に発展するらしい。ジュリアが指輪を継承した後すぐにナチスに捕えられてしまい、儀式はまだ行われていない。これを知った3人は急いでアスラン王国へと向かうのであった。

■エリア８（あるいは、インフィニット）へ
　アスラン王国にて、御子柴文彦、アリシア、フェブラリーの3人とヨハン、テクノイオン、フラウ、ジュリアの4人が出会った。「ナチスにソロモンの指輪を渡さない」という意思を確認した7人は行動を共にすることになった。

　情報収集により、アスラン王国にナチスの超人兵士2人と部下が入り込んでいることが分かる。超人兵士は“捕縛の達人シュピンネ・ヘクセ”カメリア・クーゲルフェルトと“砲術の達人レオパルド”ミハエル・ハイゼンベルクだという。

　準備を整えた7人は儀式を行うために、洞窟へ向かう。儀式は指輪により入口の封印を解き、洞窟内の5か所で指輪での封印を施し、そして再び入口で封印を施せば終了である。ただし、洞窟内にはいくつかの試練があるので、1人では封印を行う事が難しい。それを聞いて、全員で洞窟に入ることにした。内部は六芒星、ダビデの星の形になっており、星の頂点が封印を施す場所になっている。様々な仕掛けを乗り越え、最後の部屋の封印を施そうと部屋に入ると、そこには盾や剣、宝石など様々な物が置いてあった。それは悪魔を封印して物質化したもので、特殊な力を秘めているという。そして5人はそれぞれ遺産を1つ手に入れる。ヨハンは宝石の付いた腕輪を、御子柴は炎熱した宝玉を、フラウは謎の物質（オリハルコン）の円盾を、アリシアは血に濡れた聖杯を、テクノイオンは全長2.5mのアーマーを。

■急襲！超人兵士レオパルド
　無事内部の封印を施し、後は入り口を封印するだけ。と思ったそのとき、ヨハンが小さな気球に気付く。すぐさまテクノイオンが小型気球を撃ち落としたが、今度は御子柴が何かが空を切る音を聞き、ジュリアに砲弾が着弾した!!　そして、カメリアとミハエル率いるナチスの部隊がやってきた。ナチスの人員の多さと、超人兵士のしぶとさに苦戦しつつも、何とか撃退することに成功した。

＄エンディング
■ソロモンの指輪を受け継ぐ者
　ミハエルに撃たれた衝撃からか、ソロモンの指輪をうまく扱う事ができなくなったジュリア。だが、再度継承者になることは可能であった。しかし、彼女は所詮人間。いずれ寿命が来て、また儀式を行わなければいけないと考えたテクノイオンはある提案をする。自分が継承者になり、ソロモンの指輪を持つ、と（まさか、これが深淵なる陰謀の伏線だったとは、GMでさえ見抜けなかった）。最初は戸惑ったものの、ジュリアは提案を受け入れて、ソロモンの指輪をテクノイオンに渡した。

■しばしの別れ
　フラウはしばらくジュリアのもとに厄介になっていたが、自分がここにいてはジュリアの迷惑になると感じ、離れることに。また、当てもなく彷徨う日々が始まったが、ジュリアとの友情は決してなくなることは無い。

　御子柴はフェブラリーとしばらく行動を共にしていたが、再び別れ、独自に中東付近で行動することとなった。

　アリシアはこの一件について報告をしに英国へ帰っていた。そして、テクノイオンがソロモンの指輪を持ったことを話すと、彼を監視するようにとの命令を受けた。

　ヨハンはテクノイオンを連れ、ハインリヒの元へ戻っていた。ヨハンが報告し、そしてテクノイオンがハインリヒにこの指輪を求めた目的を聞き出す。そしてハインリヒは、真理に至る手掛かりだと語った。

【トレーラー】
豊葦原の中つ国、かの地に霊峰富嶽あり。竹取物語において不死の妙薬を 焼いたとされる伝承は本当だったろうか。古代戦争の暗喩という異説あり。その遺産を狙ってナチスが動き出した。1940年秋、ナチスと日本はすでに同盟国である。
『ダブルクロス The 3rd Edition』「Relic Quest W」第２話「霊峰・異聞」
ダブルクロスーそれは裏切りを意味する言葉。

【第２話「霊峰・異聞」】