第１話「MEN OF DESTINY」

覚醒プログラムの犠牲者を悼む歌「君死にたまふことなかれ」（原詩：与謝野晶子、翻案・作曲・歌：香坂真奈）が流れていた。反政府組織の電波ジャック放送によって。

時は2006年――鳴時6年10月。PCたち3人が夢を見るところから始まる。

“イン・ザ・ノイズ”鳴宮行
覚醒プログラムでクラスメイトの椎名光子に、告白と共に撃たれる記憶を夢見る。
椎名：好きだったよ、鳴宮くん。だからアタシが殺す。
無表情に見つめる天堂明に気付きながら意識を失う鳴宮。

“ルビーハンド”一宮純
恋人鮎川俊夫が神撰組の佐々木一郎に殺された。逃げろと言って事切れる俊夫。無我夢中で逃げてビルの屋上。追いつめられて、俊夫の後を追おうと飛び降りる。そこを“レッドサーペント”と名乗る蛇仮面の存在に命を救われ、神と戦う力を与えられる記憶を見る。

立花深雪
蜘蛛の巣のような世界を構成する網を辿っていくと、若い研究者、血塗れの女性、剣を持ち傍らに龍を従える青年の姿、そして工場のような場所でその三人と共に戦っている自分の光景を夢見る。
立花が目覚めると出版社・黒彩社の暗坂貴一から「興味深い人物と会わないか」という電話がかかってくる。小説のネタになるかもしれないと、立花は承諾する。

“サン・オブ・コペンハーゲン”小島浩成は、10月10日、いつも休むことのない後輩の鳴宮真言（行の姉）が休んでいるのに気づき、この日が真言の弟の命日だということを知る。その後、結城四郎（反政府組織GAEAのメンバー）と会う約束をする。

◆　◇　◆　◇

純が復讐のために作った反政府組織ブラッドエンジェルスのアジトにかつての恋人の弟、健司と純が二人でいると、健司が思いつめた表情で「一宮さんは今でも兄さんのことが好きなのか？」と爆弾発言。純は「もう少し考えさせて。私はまだ俊夫のことが忘れられないの」とかわす。純が俊夫の写真の入ったロケットを握り締めて思いに耽っていると、ロケットの中にマイクロフィルムが入っているのに気づく。純はそれを知り合いの私立探偵“ヤマサン”こと山田三郎に預けて現像を頼んだ。

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鳴宮の知り合いのクラッカー“スズメ”から鳴宮に面白いネタがある、とメールが入った。
「神聖第四帝国（ドイツ）が故障した新兵器を日本に高額で売却したらしい。」と。 とりあえず鳴宮は、GAEAのリーダー風見良一に会ってそれを伝える。

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暗坂の言っていた興味深い人物とは小島のことだった。立花深雪は小島が大学時代に書いた魔法に関する未発表論文を暗坂から渡された。小島には暗坂から取材の申し込みがあり、結城との約束の日と重なってしまったため、時間をずらして喫茶店ルネで会うことに。結城は、最近ドイツからひそかに運び込まれた物について調べてほしいと小島に依頼する。その物について知りたがる小島に対し、ドイツではかつての同時革命の際、神に対抗する兵器が開発された、と言う結城。報酬はいつもの焼肉食べ放題ということで決定（笑）。

結城と入れ違いで立花と暗坂が喫茶店ルネに入ってくる。自己紹介を終えると、暗坂は別の作家との打ち合わせと言って立ち去り、立花と小島は場所を変え魔法談義になる。立花深雪は夢で小島の姿を見ているので「どこかでお会いしていませんか？」と尋ね、小島はガイガーカウンターを取り出し、それを媒介に相手の魔力を探る。そんなこんなで二人はお互いが覚醒者（魔術師）であることに感づく。すると、立花に「自分は小島に協力する運命だ」とのお告げが。しかし、いきなりそんなことを言い出すこともできず、連絡先を交換して別れる。

結城の依頼で調査を始める小島だが、当てがないためすぐに行き詰る。小島に「先日できた協力者を頼るといいかも」というお告げ。そこで、立花にドイツから運ばれた例のものについて尋ねた。立花は5年前にドイツで開発された“リッター・ドラッヘ”という兵器にピンとくる。
＃知っているかどうか判定をすると、ここで立花の振ったサイコロが脅威の出目だった。

Ritter Drache（リッター・ドラッヘ）「騎龍」
ドイツが密かに開発した“神の敵”となる兵器。神の持つ超技術と前世紀の魔導科学と最新科学技術の三種類が混じりあって生み出された。“ロキ”という神が関係しているらしい。強靱な意志を持つ英雄にしか使いこなせない。騎乗者に強化外骨格および外部装甲として装着されて、身体能力を増幅する。機体独自の追加兵装を持つ。
ドイツは、戦闘で機能不全になった２機を高額で日本へ売却した。チュルヴィングとノートゥングという名の機体であり、いずれの名前も北欧神話の魔剣に由来する。日本中央政府はこれらを研究・修復・複製して、来るべき戦いに備えようとしていた。

小島は賢者の学院の教授で、錬金術を専門にしている金山という男が、政府側ではこういうものの専門だということを思い出す。金山について調べると、現在は賢者の学院から離れた、関東のどこかの工場にこもって研究しているらしいことが分かる。

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一宮純が“ヤマサン”に預けて、調査を頼んであったマイクロフィルムは、どこかの工場か研究所の見取り図だった。恋人が残したそれに、謎を追う決意を固める純。

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立花と合流した小島は、大型機械を扱える会社という線から資料をあさり、“騎龍（リッター・ドラッヘ）”が運び込まれた可能性のある会社の候補を東京近郊で三社に絞った。 東京の田無にある重機メーカー、神奈川県座間市の中小企業・元バイク製造工場、千葉の自動車メーカー。二人は取材を装い、それぞれに直接出向こうとする。ところが、嘘をつく判定で小島が大失敗。田無のメーカーからは取材を断られる。気を取り直して2、3件目のアポを取り、現地調査に出発した。座間製作所で警備状況などを確認するが、特に不審なものは見られない。建物は三棟だったりするが。

社長の座間裕に適当なインタビューをして、早速本題に入る。C棟では、社内で「プロジェクトX」と呼ばれている極秘研究が行われているらしく、見学を拒否される。B棟では普通にバイクが作られているらしい。

小島はトイレに立つふりをして、物陰でガイガーカウンターを取り出し《原質》の魔法でC棟の魔力を探る。結果はクロ。一人残った立花は個人的な好奇心から取材を続け、名前を聞かれて 偽名を名乗ろうとするが判定に大失敗、本名を漏らしてしまう。
＃これが後の展開に大きな影響を与えることになるとは・・・

小島はC棟が怪しいことが分かったことを収穫に、立花のところへ戻る。そこで小島も偽名判定。これは成功し「大島」を名乗る。取材を続けているうち、研究者の本多宗一が現れ、話を聞くことに。「C棟での研究はバイク業界に革命をもたらすんだよ」などと言っている本多から 何故かモーター音が聞こえてきたりするが（笑）、とりあえず放置。取材を終える。
　（深雪：義手という可能性もありますし）

二人は車に戻り、立花が《時間》の魔法で過去視を試みる。時間をかけて成功させ、数週間前になにか力のあるものが運び込まれるのを見る。が、何者かに気づかれてしまう。小島は建物の中から立花のことを見ている金山に気づき、慌てて車を発進させる。無事に戻ってきた二人は、結城に首尾を報告する。

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純に“ヤマサン”から追加報告があり、地図の場所が神奈川県の座間製作所というところだということを知る。以前はバイク工場だったのだが、同時革命以降の中身は不明。また、ここにGAEAという反政府組織が関心を示しているということと、神奈川県近辺ではエフェメールという組織があることも伝えられる。

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小島と立花が結城に会いにいくと、そこにはGAEAのリーダー風見と鳴宮もいた。以前に夢で鳴宮の姿を見ている深雪は、名乗られる前に鳴宮の名前（行）を知る。それを呟いて鳴宮に不審がられたりする一幕もありつつ、報告が行われる。

◆　◇　◆　◇

一方そのころ、純は健司と共にGAEA、エフェメールに接触を図っていた。

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風見：それについてなんだが、ブラッドエンジェルスという組織が協力を申し出ている。
小島：どういう組織なんですか？
風見：サブリーダーの女がとても怖いらしい。リーダーは凄腕のハッカーだ。更にそこが横浜を中心に動いている組織に繋ぎをとっているらしい。おそらく3グループ合同の作戦になるだろう。

というわけで、第一作戦目標を騎龍の奪取に定める。
風見：日本に運び込まれた状況を考えて、“リッタードラッヘ”は動かない状態にあるのだろう。それが修理されたり、万が一量産されたら我々に勝ち目はない。
小島：私にかかればすぐに動かせるようになりますよ……金と設備さえあれば。

◆　◇　◆　◇

ブラッドエンジェルスと直接接触するまでの間、立花は何者かの視線を感じたりするが、それ以上の動きはなし。で、東京の人目につかない場所でブラッドエンジェルスと合流。

一宮純：あなたたちがGAEAですね？　よろしくお願いします。
立花：これで全員揃ったというわけですね……（ぼそり）。

そしてお互いに情報交換。エフェメールから鮎川健司に連絡があり、現地合流ということになる。エフェメールは柴田除草サービスという会社に偽装しているらしい。作戦会議の結果、エフェメール＋ブラッドエンジェルスが正門から陽動、GAEA（鳴宮、深雪、小島、結城）が裏口から侵入という強襲作戦に決定。ただ、その前に工場に乗り付けるアシで揉める（笑）。自分の車から足がつくことを恐れた小島が、しきりに車の盗難を主張する。

　小島：ナンバープレート外したくらいじゃダメだよー。車盗もうよ車。レジスタンスは盗難車基本でしょ。

しかし、余計な犯罪を犯す危険性、盗難車では装備の問題がある、などと反対され、しぶしぶ風見の車で行くということで決着した。
＃彼らはレジスタンスであって、犯罪集団やテロリストではない。大義なき戦いに勝利はない。

また、成功した場合に“騎龍”を運び込む場所を確保していた風見に連絡をとり、移動にかかる時間を逆算して襲撃時間を決めようとする。潜伏場所の候補はそれぞれ、神奈川県相模原市、静岡県掛川市、愛知県豊橋市の３か所。とりあえず近くも遠くもない掛川に暫定的決定し、深夜1時に決行することになった。襲撃の直前にエフェメールと顔合わせする。鳴宮はエフェメールのリーダー柴田光子になんとなく見覚えがあるような気がした。
＃「霊感＋知覚」で判定して、ギリギリの成功だった。
鳴宮：（PLは気づき、苦笑）まぁ、どっかで聞いたような名前だってことで。

座間製作所の正門では、一宮純と柴田光子が容赦なく警備員たちに発砲。柴田が一瞬早かった。
柴田：あんた1秒遅いね。
純：……やるわね。 警備員たちを無力化し、エフェメールの柴田以外のメンバーが正門を死守する予定で待機、他のメンバーは建物内に侵入した。鮎川健司は門の外に指揮車で待機していた。

裏門付近では、襲撃前に《力象》（エネルギーを操る魔法）を使い、鳴宮と小島は暗視能力を身につけた。その際、魔法の焦点（発動のきっかけ）として小島は懐からリンゴを取り出す。
小島：今日のリンゴは良く落ちる

正門側での陽動が成功し、裏門の警備が手薄になったところで警備員に発砲し、突入する。顔を見られたくない小島は目出し帽をかぶっていた。C棟には陽動チームが先に侵入。工場の一角に明かりが付いており、作業台とその上の大きなものを発見する。少し遅れてGAEAメンバーも扉をこじ開け、中に入る。それぞれ明かりの場所を目指す。そこには、徹夜作業をする作業員と監督する本多がいた。
＃かつての労働基準法は廃止され、24時間でも48時間でも労働できます。この政府の人権無視政策を垣間見せたつもりでした。

作業台には一台の大型バイクと、それと同じくらいの量の人型のパーツがあった。しばらくは、そこで銃を突きつけているPCたちと本多の押し問答になる。
本多：これがどんなに貴重なものか分かっているのか。
立花：分かっているから奪いに来たんですよ
本多：これは今動かせない。
純：どうして？
本多：これだから素人は……今は精密作業の途中であることが分からないのか？ 　　　不用意に動かすと、二度と動かなくなるぞ！

そこに金山が現れ、小島がそれに気づく。と同時にブラッドエンジェルスのメンバー３人が血を流して倒れる。
鳴宮：どういうことだ？
柴田：あー、誰かと思えばやっぱり鳴宮君じゃない。
鳴宮：（気づいた）こんなところで会うなんて、ずいぶん久しぶりだな、椎名。
柴田、改め椎名：そうね。鳴宮君も生きてるなんて、こんな偶然あるんだね。
鳴宮：お前は今、何やってるんだ？
椎名：見ての通り、世の中に生える雑草を刈ってるのよ。というわけで、こんなところまで入ってきたんだから、あなたたち死になさい！

小島：風見ー、調査能力が低いぞー！
ＧＭ：エフェメールを紹介したのはブラッドエンジェルスですから。

と、そのとき、鳴宮の脳裏に声が響く。「龍の乗り手よ、来たれ」
＃霊感判定に成功し、騎龍の声を聞いた。

ここから戦闘ラウンドに突入。
鳴宮はバイクに駆け寄り、起動させようと試みる。立花と小島は作業台の近くの大型トラックに乗り込もうとする。純はメンバーの敵をとるためエフェメールに立ち向かう。

（1ラウンド目）
走った3人の前には本多が立ち塞がる。キュイーンという音と共に。
鳴宮は体当たりするが大失敗、あまりの重さに効果なし。
立花の拳銃もはじかれる。
小島は《転変》（確率を操る魔法）で本多を故障させようと試みるが、完全に止めるには至らない。次ラウンドに魔法を継続させる。
一方、純vsエフェメールは、椎名の部下東が胡蝶剣で切りかかり、純にダメージを与える。純の反撃も命中するが、傷ついた東は下がって西田が出てくるという車掛かりの陣に苦しむ。

（2ラウンド目）
鳴宮・立花の銃はまたしても本多の装甲にはじかれる。ただ、銃弾が当たった箇所の作業服が破け、そこから「ASIOMO」というロゴが見えた。
本多のパンチは、鳴宮が意志力を使って辛うじてかわす。
小島は魔法を発動させ、本多“アシオモ”の動きを止める。
本多：うお、足が重い。
小島：おや、整備が悪かったようですなぁ。

出てきた西田がそのまま純に飛び蹴り。純も意志力でかわす。純の銃は外れ。

（3ラウンド目）
鳴宮はASIOMOの横をすり抜け、バイクに跨る。龍の頭を模したヘルメットをかぶり、魔法の判定をするが失敗。起動させられず。
小島、立花はそれぞれトラックの運転席と助手席に飛び乗る。
一方、純は西田の二連撃をかわしきれず、重傷を負う。純の銃は当たる気配を見せない。
小島：一宮君、早く乗るんだ！

（4ラウンド目）
バイク起動判定は成功。鳴宮の《精髄》を吸収すると「騎龍」は3mほどの半龍半人の姿になり、パワードスーツのように鳴宮はそれを纏う。鳴宮が更に《精髄》を提供すると「騎龍」の爪が伸びて武器となる。
金山：まさかあれが動くとは！　ASIOMOなんとかしろ！

用語解説：《精髄》とはMAGEの能力値の一つ。体内に蓄積したマナのようなもので、基本的には魔法発動判定の際に難易度を下げるために使う。聖地や龍脈などのパワースポットで瞑想することで補給できる。他には、自分や他人を傷つけて生命力を精髄に変換することもできる。

ASIOMOは運転席のドアを殴り、大きく凹ませる。小島はエンジンを直結させて始動させる。
立花は純を援護して西田を撃つが、西田はヒラリと回避する。純は飛び蹴りを何とか避けて、トラックの方に撤退する。
椎名：逃がさないわよ。せめてあの女だけでも地獄に送りなさい。

（5ラウンド目）
鳴宮は爪でASIOMOを殴るが、装甲を少し削っただけ。諦めて荷台に乗る。そこにASIOMOのロケットパンチが！　命中するが、装甲で何とかしのぐ。
立花が西田に撃った銃は外れ、小島は当てて西田に怪我を負わす。
このラウンドを生き延びればトラックに乗れる純に西田の攻撃が命中し、意志力はボロボロになったが辛くも荷台に乗る。
全員が乗ったところで小島がトラックを緊急発進させ、物資搬入用の大型シャッターをぶち破って脱出する。結城は裏口から脱出する。
小島：結城に車取ってきてって連絡できないかな……できないか。
鳴宮：結城も結城でバイク乗ってますよ。
小島：これだから車はイヤだったんだよ……。

正門から出るときに無傷のブラッドエンジェルス指揮車が見え、純は無線で健司に呼びかけた。
純：健司！　大丈夫！？
健司：ああ、何も問題はないよ。君が無事でよかった。
純：こっちの他の皆はもう……すまない、私が力不足のせいで……

健司は何も答えなかった。

工場から離れてしばらくすると「騎龍」はバイク形態に戻った。トラックを乗り換えることにするが、結局鮎川健司は現れなかった。エフェメールを紹介したのも鮎川健司だったし、作戦の間同じ場所にいて双方が無傷でいることから、裏切ったのだろうということでPCたちは納得した。結城と合流し、鳴宮は「騎龍」に乗って掛川市に向かうことに。