第２話「WINNERS FOREVER」

“リッター・ドラッヘ”奪取になんとか成功し、座間製作所から脱出したＰＣたちは、途中でトラックを乗り捨てて風見の乗用車で潜伏先へ向かうことにした。トラックを降りる時に、小島は座席の下に書籍大の箱が隠されているのに気付く。その場で開けると、中には古ぼけた青銅鏡のような物が入っていた。小島は一応持っていくことにした。
＃書籍大の箱はA4版ハードカバー、要するにルールブックくらいの大きさ。手近にあるものでサイズを例示した。

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夜明け前に、静岡県掛川市に住むGAEAの協力者、家村真理夫のスーパーが所有する食肉倉庫にたどり着いた。革命以来、食料流通事情が悪化し使用されない倉庫が増えた。そんな一軒である。
昼頃に起き出してきて、家村の持ってきた新聞を見ると、昨日の事件が社会面に大きく載っていた。「昨晩、神奈川県の輸送機械工場、座間製作所がテロリストに襲撃されて、警備員が4名殺害されました。通報が早かったため、犯人はトラック1台を盗んだだけで逃亡しました。犯人はテロリストグループ“ブラッドエンジェルス”を名乗っており、首謀者は立花深雪、大島成彦という人物です。」と。下見の時に迂闊に漏らした立花の名前と小島の名乗った偽名、それに防犯カメラに映った写真が使われたようだった。さらに犠牲となった警備員の名前、窪田俊信、西河則夫、佐藤浩一、山奈邦彦と同僚や遺族のコメントが掲載されていた。これではＰＣたちは全く悪人である。

テレビでも同様のニュースが流れていた。その放送に割り込んで、海賊放送の歌が流れる。
「瀬をはやみ　岩にせかるる滝川の　われても末にあはむとぞ思ふ」（詠み人：崇徳院、百人一首より）を題材にして香坂真奈が翻案・作曲し歌う歌、それは何らかの暗号を含む歌だと小島は気付く。GAEAのリーダー風見が、一週間後にレジスタンスたちの会合があると解説する。

ＰＣたちは一週間の間に、GAEAで確保している場所で精髄を補給したり、強奪した品物の調査を行っていた。“リッター・ドラッヘ”についての調査ではあまり多くのことは判明しなかった。分かったのは「Nr.13 チュルヴィング」という名前は北欧のサガに登場する魔剣に由来すること、オートバイ形態と機人形態では重量が異なること、表面的な仕様など。

オートバイ形態
全長：2340mm
全幅：850mm
全高：1300mm
重量：300kg
最高速度：時速400km

機人形態　第一段階
全高：4000mm
重量：1500kg
装甲：ヒヒイロカネ系金属
動力：マナ転相駆動、始動時には精髄を消費する
制御系：マン-マシーン・インターフェイス、HUD

風見はこれを使いこなす鳴宮の血液を採取し、結城に分析を依頼する。結城は京都へと向かう。また、小島が鏡を調べているとき、誤ってレーザー光線を鏡面に当てると、反射光に暗号が浮かび上がった。それはDNAの配列のようだった。

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城南大学の研究室のことが気になる小島は、いったん大学へ戻った。そこには一通の手紙が届いていた。差出人は忌部正太、賢者の学院の副総長である。「小島の才能を見込んで講師として招きたいとのことである。」連絡を入れて、京都で会うことになった。万一の事態を警戒して、鳴宮も京都へ向かった。

　京都駅で会った小島と忌部は松尾大社で歩きながら話をする。鳴宮は後ろから尾行するが、“イン・ザ・ノイズ”の名の通り、二人にはまったく気付かれない。忌部の話は“リッター・ドラッヘ”を持ってくるのが条件であると聞き、小島はきっぱりと断った。忌部はあきらめきれずに名刺を渡して去っていく。小島はそれに魔法的な追跡装置がついてることを恐れ、連絡先を手帳に写してゴミ箱に捨ててしまった。
＃ＧＭが、アイテム欄に「忌部の名刺」と書いて、と言ったから!?

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一週間後、風見の案内で富士の樹海の中の結界内アジトへ向かった。この聖地はサクヤという女性が守る結界によって外界からの探知が遮断されている。結界の中には各地方のレジスタンス集団の代表者たちが集まっていた。

“ネオ奇兵隊”の総大将、高杉隼人、“ジゲン”のサイファ・ゴードン特攻隊長、
“銀の顎”渉外担当の伊達大河、“イージス”のリーダー、綾小路竜一、
“ヤチホコ”代表、桜井百子と護衛の桜井桔平、
“悪一文字”渉外担当の相楽才蔵、“鷹ノ羽”麻宮陽子がリーダー。
中立“クラマ”からも音羽源一がオブザーバーとして会議に出席。

“騎龍（リッター・ドラッヘ）”とそれを操ることができる英雄を得た今、神を倒すため立ち上がるべきかと主戦派と穏健派が激しい議論を繰り広げていた。会議の途中、GAEAの協力者である綾小路観和が駆け込んできて、風見と鳴宮を引っ張り出す。結界の外で、綾小路はネットで流れている映像を二人に見せる。だだっぴろい場所に二つの十字架が立っていて、人が縛り付けられている。その人物は鳴宮一成と晶子、すなわち鳴宮行の両親であった。さらに神撰組の三番隊長佐々木一郎が、明日12時までに“リッター・ドラッヘ”を持って来なければ両親を殺すと宣言していた。
＃神撰組の佐々木一郎は一宮純の仇敵でもある。

両親の次は姉が狙われると先読みした鳴宮行たちは、鳴宮真言を保護するため東京へ向かう。鳴宮真言は、帰宅直前に両親が神撰組に拉致されるのを見かけて逃亡・潜伏していたらしい。先輩の小島と会って、ひと安心する。そこで、死んだと思っていた弟、鳴宮行と出会い戸惑う。とりあえずGAEAのアジトに連れ帰って保護する。
それから、一宮純の知り合いのフィクサー“ダークゴースト”に無線で連絡を入れて、武器を発注する。翌朝、装備を整えたＰＣたちは両親が十字架にかけられている富士演習場へ向かった。
＃ちなみに、調達した防刃ジャケットは意外に高い効果を示すことになる。しかし、ロシア製麻酔ガス（在庫切れ）とかサリンまで準備できるフィクサーって何モノやねん？？？

見えるところにいる敵は、神撰組三番隊の佐々木一郎隊長、隊士6人それに関取風の筋肉質の男（タヂカラオ）。そして戦車３台にヘリが１機。伏兵がいるかどうかは不明。ＮＰＣたちにヘリや戦車をまかせ、さらに別働隊を反対側から向かわせて、ＰＣたちは正面から向かう。立花と純が車で待機して、小島と鳴宮が佐々木一郎に接近していき交渉しようとします。鳴宮が“リッター・ドラッヘ”を渡す前に両親を解放しろと要求し、佐々木は“リッター・ドラッヘ”引き渡しが先だと主張する。交渉が平行線になりかけると、人質は１人で十分だと、ヘリで待機する部下に命令が。ヘリの狙撃手は十字架の方に銃を撃ち、その一撃が十字架の下から延びている導火線に点火する。それを見た鳴宮が導火線の火を消そうと走り出し、なし崩し的に戦闘に。

最前線にいた小島に対して３人の隊士が斬りかかり、小島はピンチに陥る。鳴宮は騎龍チュルヴィングに騎乗し、導火線の火を消した後でタヂカラオと一騎打ちを繰り広げる。純は恋人の仇、佐々木へ向かって突進（佐々木は刀、純はライフル装備なのに）。立花は車の影から、小島を攻撃する隊士をどうにかしようと狙撃している。
一方で戦闘ヘリは、いきなり発生した竜巻に巻き込まれて無力化される。さらに数ラウンドの間に、サイファ・ゴードンは示現流斬鉄の要領で戦車を叩き斬り。土佐の海男児、綾小路竜一は太極拳の要領で砲弾を受け止め戦車をひっくり返す。ネオ奇兵隊の高杉隼人は爆発物の扱いに長け、戦車を破壊していく。

戦闘は激しさを増し、待機していた3人の平隊士は1人が立花の方へ、残り２人が佐々木と一騎打ち中の純へと向かって行く。３人から切りかかられた純は、見る間に傷を増やしていく。そして崩れるように倒れこんだ。タヂカラオを倒した鳴宮がなんとか助けにいこうと新機能「縮地」を発動させて近づいたが、その目前で無情にも佐々木の刀が純にとどめをさした。そのすぐ後に、後を追うように小島も隊士の刀の前に力尽きる。この段階にきて「撤退すべきだ」と願った鳴宮の意志に応えて騎龍の隠された能力がまた発動する。いきなり翼が生え空を飛んで、さらに念動力で両親の十字架を引き抜いて飛び去って行く。

残された立花は不思議な光景を目にする。純の左手から赤い蛇のようなものが出てきて、神撰組隊士の足を払って、強い光を出して消える。気付くと、純と小島の死体がいつのまにか車の後部座席に移動していた。立花は車に乗って（無免許）でその場から離脱した。

生き残った者たちは樹海結界内のアジトに戻り、レジスタンス代表の前でGAEAのリーダー風見が演説を行った。

「我々は待望の英雄を得た。これは最後の戦いへの始まりである。我々、自由を求める人類が戦ってこれたのは何故か！　それは我々の目的が正しいからだ。神を僭称する一握りの存在が人類を支配して５年。我々の友がどれほど犠牲になったか。犠牲になった仲間たち哀悼の意を表する。だが、自由のための戦いを真の神が見捨てるわけはない。これを見よ！この騎龍こそが反撃の切り札である。
我々は５年間待った。もはや我らが仲間にためらいの声を漏らす者はいない。今、真の若人の熱き血潮を我が血として、中央政府への反撃を宣言する。偽りの平和に惑わされることなく、繰り返し聞こえてくる真の自由を求める声に応じるために。」
「勝利の風をわれらに」

聴衆たちは「万歳」「ジーク」など口々につぶやく。

しかし、この戦いにおいてＰＣから2人の犠牲者が出てしまった。