セッションレポート「スリーピング・ビューティー（Sleeping Beauty）」

【第３幕：イタリア半島縦断、ミラノへの道】
　ミラノへの行程には運転手兼お目付役で監察官ブラザー・アンドレリウスが同行することになった。半島側へ渡り、用意されてあった乗用車２台に分乗して出発した。道中の襲撃を警戒して、１台目はアンドレリウス、ブルーゲイルとミナに変装したフェルミナが、２台目にはAA、ラザロ、シズマとミナが乗ることになった。陸路を北上する２台は半日ほど何事もなく走破していく。ローマの東を通る頃になって、特務警察の検問に気付いた。相手に気付かれる前にブルーゲイルの望遠視力で感知できたので、一時停車して対策を練った。医者が患者を移送する道中ということにして、無事に通過した。そのさいに、特務警察は「血液強奪犯人が潜伏しているので見かけたら市民の義務として報告しろ」と警告のような命令のような発言をした。改めて警戒を強め、チームは北上していく。さらなる検問を避けて、なるべく脇道を進むと２時間ほどで日没になった。さすがに夜間にうろうろするのは危険だということで、手近な村、アルデア村に宿泊することになった。ここでも襲撃者への警戒は怠らない。３階建ての宿屋の１階を全室借り切ってチェックインした。しかも全員が一部屋に集まって、食事も保存食を囓るほどの警戒ぶりだった。

　フェルミナとブルーゲイルは様子を伺うため、二人だけで食堂へ出てきた。そこでビジネススーツを来た長髪の男に声を掛けられる。「この村へはビジネスで来ました」という男に相席を望まれ、他愛のない世間話をひとしきり語って別れた。去り際に彼が背を向けたとき、密かにブルーゲイルがカチャリと銃のセーフティーをはずす、「Auf Wiedersehen!」と。だがしかし、男は何事もなかったかのように余裕たっぷりで「いい夜を」と言い残し、去っていった。そのやり取りを横から見ていたフェルミナは彼が只者で無いことを見抜いていた。

　その知らせを受けたハンターチームは、ふたたび作戦会議を繰り返す。分離行動して囮を出す案、宿屋での籠城案、シャトーを借りて立てこもる案、いろいろ考えたすえに出た結論は検問付近まで戻って自動車故障を装って停車し、イザというときに特務警察の力を借りようという方策だった。出発準備を整えたころ、宿屋の近くを先ほどの長髪の男が通りかかり「夜間の出発とは大変ですね」とねぎらいの声を掛けた。露骨に怪しいが、未だ敵とは断定できない。ハンターチームは夜の闇へと出発した。空に浮かぶ１つ目の月は月齢１４、月が輝く良い夜である。

【幕間】
「ネットソーサラーからレッドバロンへ。眠れる美女は移動を開始した。作戦を変更する。お土産を持ったまま飛行路を変更し、彼らの足止めをしろ。私も後から追う。」
「レッドバロン、了解した。交信終了。」