セッションレポート「スリーピング・ビューティー（Sleeping Beauty）」

【第４幕：山中の血戦】
　山道を２時間ばかり走り、昼間に検問があった場所にあと10分ほどで検問所に着こうという頃、チームは月の前を横切る３つの影を見た。ほどなくして、前方に重量物の落下音がドーンと響いた。爆弾である。次々に上がる爆炎に前方の道は走行不可能になった。前方がふさがれ、側面は森、そして後方から１台の自動車が追いついて来た。先ほどの長髪の男である。「ごくろうさまでした。スリーピングビューティーを渡してください。ここからゲルマニクスまでは私が護送します。」と言う男の申し出を拒否し、先端は開かれた。博識なラザロは彼を薔薇十字騎士団の一員と看破した。そして飛行生物は邪悪な実験による改造吸血鬼であることも。

　荷物を捨てきった吸血鬼たちが降下して来た。今度は重機関銃は持っておらず、爪での接近戦攻撃を仕掛けてくる。迎撃モードのブルーゲイルがリヒトホーフェン男爵を含む２体と応戦する。もう１体は前回の戦闘情報から最強の敵と認識した、ラザロを襲う。後方ではAAとシズマが騎士団の男と対峙していた。男は刃網を準備するが、シズマに居合抜きで切り捨てられあっけなく気絶した。ラザロはまず、接近してきた吸血鬼にフリントロック銃の一撃をみまった。見事に重傷を負わせたが、致命傷には至らず、ナイフでなんとか相手の攻撃をしのぐ。横合いからフェルミナの放った火炎がそいつを焼き尽くす。上司と部下１人を失った吸血鬼たちは激怒した。加速して全力で攻撃を仕掛けてくる。男爵は強敵と認識したシズマの方へ移動し、一進一退の攻防を繰り広げた。

　一方、もう１体の吸血鬼と戦っていたブルーゲイルは整備不完全だったためか、右手から拳銃を取り落とし、そのうえ、防御時に大きな隙を見せてしまった。そこを切り裂かれて窮地に陥った。機体損傷率95％、反応炉制御不能。ここで最期の決断を下した。戦術思考を戦闘モードから最終モードへ移行する。メモリーカードを射出し、反応炉を暴走させて敵を道連れに一気に戦場を離脱していく。転瞬、戦場を少し離れた場所で青い炎があがった。空を切って飛来したメモリーカードはラザロの手に残った。唯一の形見、地に落ちていた機関拳銃をブラザー・アンドレリウスは如何なる気持ちで拾い上げたか。

　その爆発の衝撃で騎士団の男が気絶から回復したことに、即座に気付いた者はいなかった。リヒトホーフェン男爵は複数の戦士を相手に一歩も退かず、AAの光の拳、シズマの風車斬り、そしてフェルミナの火炎放射を受けて倒れた。だが、まだ爆薬が残っていた。火炎が爆薬に引火して、男爵の肉体は粉々に砕け散った。思わず防御姿勢をとる一同。その隙に男は自動車に飛び乗って、逃走する。最後に名前だけを名乗って。
「我は薔薇十字騎士団　位階7=4　“網の邪術師”ペスカトーレ。縁があったら再び会いましょう。」

【終幕：ミラノ】
　襲撃者を退けたハンターチームはそのままミラノへと向かった。ミラノでは“プロフェッサー”ことドクター・ウィリアム・ウォルター・ワーズワースが出迎えてくれた。
「ごくろうさまでした。彼女の身柄は我々教皇庁国務聖省で預かります。」
ミナは「さようなら。短い間でしたけど、あなたたちに会えて良かった。あなたたちのことは一生忘れません。特にあの蒼髪の人のことは。」と謝意を示して去っていった。
　そして、ブルーゲイルは“プロフェッサー”とドクター・ラザロが協力して再製作されることになったが、稀少品ゆえに部品が揃うかどうか。今度会うときは足がキャタピラになっているという噂もある。
　ペスカトーレの逆襲はあるのだろうか？　ミナの正体とは？　ブルーゲイルは復活するのだろうか？　様々な疑問を残しながら一つの物語は幕を閉じた。

セッションを終えて、ＰＣの１人が死ぬという結果になったけれど、参加者皆が世界観に相応しい活躍を目指して役割を演じたから、楽しいセッションになったと思う。それはひとえに「トリニティ・ブラッド」の世界観が面白いから、世界観の魅力に引っ張られたからこそ楽しめたのだと思った。