第１話「騎士の矜持」
■脱出
　グラスヴァール・アシュフォード（PC1）の任地であるエルバに突然、トランガーヌ四天王の一人黒騎士が訪れ、トランガーヌ子爵からの指示「グラスヴァールはダーンダルク城に戻ること」を伝える。理由は黒騎士も知らないようなので、エルバのことは黒騎士に任せ、グラスヴァールは城へと向かった。

　ダーンダルク城に着き、国王のガーディオスと会う。ガーディオスは王位継承権1位であることをグラスヴァールに伝え、次期国王としての心構えを問うた。そのことに加え、最近アントリア子爵領でダン・ディオードという者が前領主を倒して領主となったこと、今現在は都合によりトランガーヌ四天王が城を離れていることを伝えた。グラスヴァールはそれを聞き、国防について少し心配しながらも、次期国王としてこの国を守ることを誓った。

　城内にてノイ・ヨースチナ（PC2）は貴族たちの話からグラスヴァールがいずれ国王を継ぐこと、それを貴族たちが好ましく思っていないことを知る。その後、ノイはグラスヴァールと会い、話をしているところに矢文が届く。矢文には城内に裏切り者がいることが書かれてあった。直後、アントリア子爵軍が城を襲い、グラスヴァールとノイの2人は国王のもとへ向かう。国王は王として城で最後まで戦うつもりで、2人に城から逃げるよう言った。2人は戸惑いながらもダーンダルク城から逃げ出した。

■白亜の公子
　幻想詩連合にて、盟主のアレクシス・ドゥーセがフレア（PC2）に敵対勢力の大工房同盟がダン・ディオードの支援のために騎士団をブレトランド小大陸に向かわせたことを話す。フレアが「それを壊滅させればいいのか」と聞くと、アレクシスは平和的に解決するよう頼んだ。そのためにブレトランド小大陸へ渡り、一度ヴァレフール伯爵ブラギス・インサルンドと話すよう言った。フレアはそれを聞き、海を渡ってヴァレフール伯爵領へと向かった。
＃キャンペーン時は小説第３巻発売前でした。当時は、公式イメージよりもやや切れ者としてアレクシスを描写しています。

　ヴァレフール伯爵領を訪問したフレアは、ブラギス・インサルンドに「戦乱についてどうするつもりか」を聞く。ブラギスはダン・ディオードと戦う気はなく、状況を静観するつもりのようだ。フレアはそれを聞き、失望しながら部屋を出ると、城内の貴族が魔法師であるフレアに「面白い話」があると話を持ちかけてくる。その話とはトランガーヌ子爵の息子グラスヴァールが生き残っていて、今もどこかに身を潜めているということ。その貴族が暇なら探してみたらと言うので、フレアは一度探してみることにした。

■旅の仲間
　アーノス・ルガード（PC5）は先の護衛任務で混沌の怪物に襲われ、自分以外の人が全員殺されてしまい、ふがいなさからインサルンド家を辞して旅に出ることにした。ドラグボロゥ城を出たところでフレアと出会う。互いの境遇について話し、フレアがアーノスに「共にグラスヴァールに会ってどんな人物か見定めないか」と持ちかけると、アーノスはそれに乗って一緒に旅をすることになった。

■影の一族、滅亡
　ネーレ（PC4）がロソンブラ一族の拠点であるカスカータの村に戻ると、村が滅ぼされていた。どうやらダン・ディオード軍の仕業らしい。走り回って周辺を捜索していると、村を滅ぼした兵士達の指揮官、ダン・ディオードに仕える七剣騎（セブンソード）の1人、クロヴィスが酒を飲みながら談笑している所に出くわす。クロヴィスはロソンブラ一族のクーガーと協力して攻めたようだ。ネーレはその場でクロヴィス達を八つ裂きにして、裏切り者のクーガーを探しに村を出た。ちなみにクロヴィスは七剣騎で一番の小物らしい。その後、ネーレは道端で行商人に会った。行商人はネーレの姿を見て、自分がロソンブラ一族のタツマキであることを明かす。タツマキはクーガーがクロイツの町にいることを知らせ、去って行った。

■6人の出会い
　フレアとアーノスがクロイツの町に着くと、大剣を背負った若者が歩み寄ってくる。若者はグラスヴァールと名乗り、自分に仕えるつもりはないか2人に聞く。2人は答えを後にし、町へと入った。
　ノイとグラスヴァールが城から逃げ出てからしばらく経ち、エルバが陥落したことや黒騎士が行方不明であることを知った。2人の路銀と食糧は尽き果て、ふらふらになりながらもクロイツの町に着く。そこではシンシアという少女が道行く人たちに村を助けてほしいと頼んでいるが、無視されていた。2人はその少女に近づいて話を聞くと、シンシアの住むマイオスの村が竜人に襲われているらしい。2人は空腹で倒れそうであったが、見捨てられなかったので村を助けることにした。シンシアは報酬は食事しか出せないと言うが、2人にとってはそれだけで十分だった。
　その話を近くで聞いていた大剣を持った若者とフレアとアーノスもその依頼を受けるとのこと。若者がグラスヴァールと名乗るので、グラスヴァール（PC1）も自分の名前を名乗ると、自称グラスヴァールは少し動揺しながら家系図を取り出して、自分の身分を証明しようとした。家系図はどうやら本物のようだ。グラスヴァール（PC1）がどこで手に入れたか問い詰めると、自分の城から持って来たと言う。盗みをするようには見えなかったのでグラスヴァール（PC1）とノイは警戒しながらも3人とシンシアと共に宿屋に向かった。
　宿屋でシンシアに話の詳細を聞くと、最近マイオスの村に村の宝「竜の牙」を狙いに竜人がやって来ているようで、村の畑の上に祭壇を築いたりしているようだ。話を聞く限り、竜人たちを倒すにはもっと人数がいるようだ。また、PCたちは、シンシアの首飾りに付いている四角錐の形状の物が目にとめた。話が終わった頃、突然窓から布をくるんだ石が投げ込まれた。投げ文を開いて見ると「町はずれ」と書かれてある。皆不審に思ったが、町はずれに向かうことにした。

　ネーレはクロイツの町の酒場で裏切り者のクーガーを見つけた。ネーレがクーガーに見つからないように隠れていると、クーガーは酒場から出ていく。ネーレがつけていくと町はずれに着いた。隠密は成功しておらず、おびき出されたのだ。突然、クーガーがネーレに話しかける。クーガーは村の風習が嫌だったこと、村を襲ったのはダン・ディオードの軍だけではなく村の秘宝「竜の瞳」を狙う竜人の軍も共に襲ったことを語る。クーガーはネーレに襲いかかるが、返り討ちに遭い、とどめを刺された。
　ネーレがクーガーを倒す直前に、グラスヴァール達が町はずれに着く。ここで何をしているかを聞くと、ネーレは今までにあったことを話す。事情を聞いたグラスヴァール達は竜人を倒すために共に来てくれるよう頼む。ネーレは了解し、一緒にマイオスの村へ行くことになった。

■マイオス村
　翌日、一行がシンシアや村の若者の案内でマイオスの村に近付いて行くと、竜人の一団が草むらから飛び出し「大毒竜ヴァレフスを復活させるために竜の牙をよこせ」と言う。それを断ると襲いかかってきた。竜の神官の炎のブレスによりPC達の大半が瀕死となったが、フレアの魔法で一網打尽にしてなんとか勝利した。
　PC達が戦闘に勝利した頃、自称グラスヴァールは竜人兵1体にかなり苦戦していた。戦い方はロードの戦い方ではなく、さらに聖印はインクで書かれたものであると4人のPCは理解した。グラスヴァール（PC1）だけが見抜けなかった。
　マイオスの村に着くと、村長の屋敷に向かった。村長の屋敷に着いて一段落したところで自称グラスヴァールを問い詰めると、自分はロードではないこと、本当の名前はシフド・ライでグラスヴァールの名を騙っていたことを白状した。自分の町が混沌に襲われて滅んだからロードを目指し、仲間を集めようとしたようだ。これを聞き、グラスヴァール（PC1）は竜人兵を相手に最後まで戦った気概は良しとしたが、名を騙ったこと、しかもたいして強くないのに騙ったことに怒り、鍛え直すことにした。

　翌日、グラスヴァール（PC1）とノイ（PC2）は村長の元に行き「村民に自分達ぐらいに腕の立つ者がいるか」聞いたが、いないとのこと。ならばと思い、「村民が村を守れるよう訓練するために、このマイオスの村を自分の領地にしたい」と提案したら快く受け入れてくれた。
　フレア（PC3）とネーレ（PC4）とアーノス（PC5）はシンシアのところに行き、首飾りについて聞くと、数百年前から伝わる村の宝で「竜の牙」であることがわかった。
　村の広場にて、グラスヴァールとノイが村民たちに演説するが、ウケはイマイチ。集まっていた人の半分ぐらいはよく思ってくれない上、お尋ね者であるグラスヴァールを差し出して金を受け取ろうと思い、村を離れる者が出る始末であった。それはともかくとして、2人は村民が戦えるように軍事教練をした。

　広場で演説をしている間、ネーレは竜人たちの本拠地である祭壇を偵察しに行った。祭壇で竜人神官が儀式を行っており、祭壇の真ん中で「竜の瞳」が明滅していた。
　ネーレが戻って来て報告すると、早急に手を打つ必要があるということになる。日没前に弓の訓練をした村民たちとシフド・ライを連れて祭壇に向かう。まず、相手が戦闘態勢に入る前に村民たちが弓を掃射し、何体かの竜人を倒した。すると、こちらに気づいた竜人神官が心臓に腕をつき刺して自らを犠牲にすると、混沌が収束してドラゴンが出現し、襲いかかってきた。
　激戦の末、ドラゴンを打ち倒し、ネーレは祭壇に置いてあった「竜の瞳」を取り返した。村に戻り、グラスヴァールはマイオスの村で正式に国家を立ち上げた。そして、かつての任地であったエルバを奪還するために、ヴァレフール伯爵に助力を求めることにし、ヴァレフール伯爵領へと向かうのであった。

【幕間】
ダン・デイオード子爵のもとにグラスヴァールに関する知らせがもたらされた。 （外見の印象は、豪放かつ理知的な武人。例えるなら、ラオウ）
側に控えるは、狡猾そうな魔法師、狼面の騎士ほか精鋭の七剣騎たち。
「クロヴィス卿が討たれたか、奴ら許すまじ」
「捨て置け。クロヴィス卿は七剣騎で一番の小物。討たれたのは無能だからだ」
「あのトランガーヌ子爵の子供、グラスヴァールはどうする」
「村一つ治めたところで何が出来る。配下にするにせよ、倒すにせよ、もっと聖印を成長させてからでよい」
「それより、今は辺境の澱みだ。行って監査し、しかるべき処置を」
（科学者が登場し）「騎士様、この荷車をお持ちください。異界の知識より製作した処刑人の負担を軽減するための器械です」

【トレーラー】
ここは悪徳の町エルバ。前領主グラスヴァールの善政への反動か、あるいは首都から離れた辺境でアントリア子爵の目が届きにくいからか。あらゆる悪事が蔓延っていた。その淀んだ街角で、ナナと呼ばれる少女と出会った。七番目だから、ナナ。
燃え上がれ、駆け抜けろ、腐敗と自由と暴力の真っただ中を。
グランクレストRPGキャンペーン第2話「風と炎の魔神」
　混沌（カオス）を治め、聖印（クレスト）に至れ。エルバで飲むコーヒーは苦い。