第４話「ウェディング・ベル」
■幸せな2組
　旧首都ダーンダルク城を奪還し、ヴァレフール伯爵と同盟を結ぶため、伯爵の長女ヴェラと結婚することになったグラスヴァール（PC1）。結婚の準備に際して、サリクス領主ガストンに仲介してもらうのがよいだろうということで、グラスヴァールとガストンの息子であるアーノス（PC5）はサリクスへ向かう。ガストンは中立な魔法師ローレン・フラドナーグに結婚式の準備を頼むことを勧める。「結婚式をどのように行うのか」と聞かれたグラスヴァールは「主な客は身内だけで粛々と行う」と答える。

　グラスヴァールが結婚式準備の段取りを進める裏で、アーノスは婚約者ユリシアに会いに行く。旧首都を奪還したと聞いたユリシアはアーノスに「戦いは終わったの？」と尋ねる。「ダン・ディオードを倒すまでグラスヴァールについてゆくつもりだ」と答えるが、それはいつになるかはわからない。いっそ、グラスヴァールが結婚するというのならこの機会に。ということで、アーノスが父親ガストンに相談すると快諾され、結婚式を合同で執り行うことになった。外交上の問題があるのでダン・ディオードにも結婚式の招待状を送ることになったがまあ仕方ないだろう。さらにグラスヴァールはマイオス村のシンシアにも招待状を送っていた。

■暗躍する闇魔法師
　一方、結婚式準備の間、ダーンダルク城へ戻るフレア（PC3）に道中、ライザと名乗る魔法師が声をかける。味方を巻き込みファイアボールをクリティカルで放つ噂を聞いて、欲望があるなら手を貸そうという。フレアの望みは主アレクシスとマリーネの仲を戻すことだ。だが、ライザは力不足だという。「力が欲しくないか？」そう問いかけながらワンドをフレアに渡す。行ったことのある町に一瞬で移動できるという魔力を持つという（コンピュータRPG「ドラゴンクエスト」の便利呪文「ルーラ」）。無料で貸与されることを怪しみつつも、フレアはワンドを受け取る。

■首都マイオス再び
　残りの2人、ノイ（PC2）とネーレ（PC4）は首都マイオスの村に向かう。第2話冒頭で旅立って以来、久しぶりにPCが訪れたことになる。近付いて行くと、街道整備が始まったばかりのようだ。山奥で不便だとか、何の設備もないとか、問題点は多々あるが、グラスヴァールが主張する以上、誰が何と言おうと首都である。村の様子を見ると、村人の何人かが怪我をしている。尋ねると、どうやら竜人兵が何度か現れて、シフド・ライや青年団が撃退したらしい。事情を聞きに行くと、シフド・ライの顔に邪紋が！　村を守るために邪紋使いになったらしい。顔の邪紋はアーノスに倣ったとか。今度はインクではないようだ。「首都と言いながらグラスヴァール様はいないし、守ってもくれない、通りすがりの魔法師が治療してくれなければどうなっていたか」と愚痴をこぼすシフド・ライ。ライザと名乗る魔法師が村を訪れて、助けてくれたという。

■領地をおおう暗雲
　そうしていると、北から旅人がやって来る。どうやらグラスヴァールに何事か伝えに来たようだ。ダーンダルク城に行ったが、首都はマイオスだと言われて、たらい回しにされたらしい。北のアの町周辺の村が人馬の姿をした怪物に滅ぼされたという。ノイの頭には故郷の村を滅ぼした強化アーティスト、サジタリウスが思い浮かぶ。ノイは「できる限りの対処をする」と答えて、一人でアの町へと向かう。これ以上サジタリウスの犠牲を増やしてはいけない。アの町へ着くと、腕と脚が六本ずつある人馬が暴れまわったとの情報が得られる。魔物を倒し強くなっているようだ。ノイは「町周辺にまだ魔物がいるので対処してほしい」と頼まれる。町の防衛をしていると主君グラスヴァールの結婚式には参加できない。いや、主君の統治する町を守ることこそが主君のためになることだ、自分が結婚式に出ないことなど些事である、と考えてノイは町に残った。

■失恋による失踪
　ネーレがマイオス村にいると、一族の宝「竜の瞳」が突然輝く。ここでシンシアの持つ「竜の牙」のことを思い出し、会うことにした。すると、マイオス村にシンシアの姿はなく、「旅に出ます。探さないでください」と書かれた置き手紙だけが残されていた。グラスヴァールに思いを寄せている疑惑があったな。失恋かな？ ネーレはシンシアの父親である村長に話を聞く。グラスヴァールの結婚の話を聞いてから思い悩んでいたとか。失恋かな。
　なにはともあれ、ネーレはタツマキとともにシンシアを探すことにした。さて「竜の瞳」に目をやると、どうやら南の方角に反応があるよう。ネーレがそちらへ向かうと「竜の爪」を持つ竜人の群れが移動中であった。ネーレは奇襲をかけて竜人を倒し「竜の爪」を奪った。「竜の瞳」がレーダーの役割をしていると理解する。「これはいいものだ」　次にドラゴンレーダーが指し示すは南東、ヴァレフール伯爵領の方角。シンシアが向かっているのだろうか。

　一方そのころ、フレアのいるダーンダルク城に北東のツェの村から疲れ切った旅人がやってくる。デーモンが大量に現れたので助けて欲しいとのこと。混沌に溢れるこの世界では魔物が突然現れるのは自然災害レベル。とりあえず兵力を集め何とかすると約束する。

■領地をおおう暗雲に対する2人のロード
　結婚式のあれこれを決めて魔法師ローレンに準備を任せ、グラスヴァールは一旦首都マイオス村へと戻る。道すがらアントリア子爵領の話を耳にする。アントリアは兵を下げ守備的になった。軍事訓練を行っている。何かを召喚しようとしている等々。グラスヴァール率いるニュートランガーヌ領との戦争に備えているのだろうか。
　グラスヴァールがマイオス村に着いて、領内の各地で事件が起きている事を知った。結婚式のためすぐにサリクスに戻らなければならないので、四天王たちを各地へ派遣しようとダーンダルク城に行く。グラスヴァールはフレアと合流し、謎の魔法師からワンドを渡されたことを聞く。学のあるグラスヴァールは使うたびに混沌に侵されると理解し、ワンドを使ってはいけないとフレアに言う。そして城の守りを考えながらも四天王とフレアの配備を行い、急いでサリクスに戻るのであった。

　ノイが町の周辺を見回りに出ると人馬が2体現れた。腕は2本、脚は4本。あれは……？と様子をうかがっていると空から「サジタリウスではない」との声。派遣されてきた四天王マスター・ペガサスだ。ただの野良ケンタウロスだったらしい。サッと倒して町の防衛を続ける。サジタリウスはもっと大きな魔物を探し、サリクス付近の竜のアギトとかいう場所へ向かったという。落ち着いたら向かわねば。

　デーモンの湧くツェの村にはフレアと花屋の娘、もとい”黒き流れ星”シモーヌが向かう。インプとレッサーデーモンの群れを発見するとフレアのバーストフレアが炸裂！見事シモーヌと連携して掃討するのであった。村人に話を聞くと見慣れない旅の女が仕掛けをして立ち去ってからデーモンが出現するようになったとか。フレアが調べると、魔法師が何かした痕跡があった。

■結婚式の惨劇
　場面変わって結婚式前日。ルガード家に滞在するアーノスとグラスヴァールのもとに憎きダン・ディオードと盾を持った騎士が現れる。招待状が届いたので赴いた、と、ひとまず祝いの言葉を述べるも「ブレトランド統一を狙うのだろう？いずれ戦場で相まみえよう」と告げる。そして結婚式に名代で出席する七剣騎のクライス・アストンを紹介する。何かあった時にはダン・ディオードの代理を務める優秀な人物らしい。守る者としての対抗心からか「パラディンの方が硬い」とクライスはアーノスを挑発し、去って行った。
＃この場面は敵の顔見せ。そして最終回の策略、大ボス交代劇への伏線でした。

　そうしてめでたく迎えた結婚式当日。式典の会場で重武装しているのはルガード家の衛兵のみ。グラスヴァールは儀式のためと言って、何とか大剣を持ち込んだ。GMは戦闘用シートを取り出し、おもむろに駒を置き始める。きっと結婚式の配置だろう。ヴェラがブラギス、ユリシアが父親に連れられそれぞれ新郎のもとへと歩いて行く。そのとき、アーノスは嫌な予感を感じる。インサルンド家長男が妙に緊張しているような。突然「グラスヴァール、覚悟！」と叫び、近くにいた招待客が襲い掛かってくる！
グラスヴァールが大剣で応戦していると、この戦闘をきっかけにやる決心がついたのか、後ろの方の客席でパカッと箱を開ける音とともに「くたばっちまえ！」とつぶやく女の声が。グラスヴァールは鈍感にも気づかないが、アーノスは気づく。シンシアの声だ。それに反応する間もなく、突如デーモンが出現し、ヴェラを中心にして攻撃魔法が放たれる！　巻き込まれるユリシアをとっさに庇うアーノス。近くに在席していた七剣騎クライスはブラギス伯爵を庇う。一般人であり、庇われることもなかったユリシアの父親は死亡した。ヴェラは死んではいなかったが、気絶したところをデーモンに掴まれて飛び去られる。

■追跡の前に
　デーモンが飛び去った直後に、ネーレとタツマキが到着する。デーモンの追跡をタツマキに任せ、戦いを続けようとする3人だったが、暗殺者は自害を試みる。アーノスが止めようとしたが間に合わず、自害は成功してしまう。そして、先ほど声のしたあたりを見るとシンシアが呆けていたので確保した。シンシアはグラスヴァールを睨む。「遊びだったのね……。あなたに話すことは何もないわ」　結婚式を邪魔され、結婚相手の父親を殺されたアーノスも怒り問い詰めるが、何も話さない。グラスヴァールとしてはできれば拷問は避けたい。仕方なくネーレが変身して脅すとようやくライザに「竜の牙」と引き換えに箱を渡されたと吐く。暗殺者のことは知らないという。魔法師ローレンがやって来て「秘密結社パンドラが関わったならばこのようなことはよくあること。ライザは生命魔法系の闇魔法師。箱は闇のアーティファクトで使うと混沌に侵されるので、シンシアにはケアが必要だろう」と言う。

　その日の晩、シンシアの処遇を考えるグラスヴァールたち。「シンシアにあまり甘いようならこれ以上ついていけない」と告げアーノスはユリシアのもとに向かう。グラスヴァールは「罪は償わなければ」と言うものの、ひとまず牢屋にいれ、保留にするようだ。また、結婚式のとき、長男の様子が怪しかったことを聞いて、ネーレは探ろうとする。しかし、警備兵に見咎められ「来たばっかりなので迷っちゃいまして」と苦しい言い訳する。グラスヴァール配下のネーレが怪しい動きをしていたと報告され、ヴァレフール伯爵側に疑いを持たれることになった。
　翌日、ノイとフレアもサリクスに到着した。魔法師協会へ行くと、シンシアが持っていた箱はデーモン召喚のためのものであり、シンシアは箱を開けただけでデーモンへの指示はライザだと言われる。ついでに、フレアが貸与されたワンドは便利だが危険が伴うということで魔法師協会に預けることになった。そうしていると、「大変ですぞ、ネーレ様！」の声とともに大凧で飛んでくるタツマキ。近くの「竜のアギト」と呼ばれる場所にスコーピオンマンが20体ほどおり、ライザがヴェラを貼り付けにして儀式を行っていると伝える。スコーピオンマンは黒くて長い筒状の武器（アサルトライフル）を持っている。サジタリウスらしき強化邪紋使いも近くにいるらしい。

■ヴェラ救出作戦
　夕暮れ時、PCたちは「竜のアギト」に到着する。アーノスとネーレは隠れて近づき、グラスヴァールがライザと対峙する。「英雄の子孫グラスヴァール、大毒龍ヴァレフスの生贄に相応しい。剣を置け」とライザが告げると、ヴェラを救うために敵意を見せてはいけないと考えたグラスヴァールは剣を地面に置く。タイミングを見計らい、フレアがヴェラを取り囲むスコーピオンマンに対してファイアボールを放つ！　周りの敵は燃えども、ヴェラは無事だ。前回の教訓から、味方を傷つけない特技を覚えたのだった。これを皮切りに戦闘開始。奇襲が成功したこともあり、戦いは優勢である。そこに満を持して、2振りのロングソード、2帖のラージシールド、コンポジットボウを持った人馬、サジタリウスが現れる。サジタリウスの手数の多さに苦戦しながらもライザを追い込むとワンドを振って逃げてしまう。ライザを逃したものの、激戦の末に勝利。強化邪紋使いであるスコーピオンとサジタリウスはさらさらと崩れていく。グラスヴァールがヴェラに駆け寄って治療すると目を覚ます。「信じていたわ」と感謝の言葉を述べる。

　儀式に使われていた「竜の牙」を回収し、翌朝にはサリクスに戻る6人。民衆はヴェラが戻ったことを喜び、グラスヴァールたちを讃える。ブラギスと息子たちはすでに帰路についていたが、早馬を飛ばすとブラギスだけが戻ってくる。息子たちは帰ったらしい。「ヴェラはダーンダルク城へ連れて行ってよい。同盟も約束通り締結する」とのこと。一方、アーノスはユリシアに会い「できるだけ、一緒にいよう」と約束した。改めて結婚式が行われた。
　シンシアの処遇はエルバで療養ということになり、今回も首都はマイオスの村から変更されないまま次回へ続くのであった。

【幕間】
アントリア子爵ダン・ディオードは焦っていた。「七人の騎士を揃えるのも、伯爵が持つ龍殺しの宝剣を手に入れるのも間に合わなかった。この状況で大毒龍の復活に対処できようか」
科学者「異界の技術を解析して、戦車の準備はできております」
魔法師「地球という異世界から聖戦士の混沌投影体を召喚しましょう」
子爵　「聖戦士のような不確かな戦力に頼らねばならんとはな」
魔法師「しかし、他の２国より戦力が整っておりましょうぞ。問題は大毒龍がどの国に出現するか」
科学者「出現地点は、観測するまで確定しない事象です」

【トレーラー】
聞こえるか、はるかな轟き。闇の中で魂を揺さぶり、覚醒する。大地を割りそそり立つ姿は混沌の証か。伝説の大毒龍の咆哮は人民を怯えさせ、ブレスが大地を汚染する。大毒龍の進撃に人間はなす術がないのか。いや、英雄たちがいる。
グランクレストRPGキャンペーン第5話「ドラゴンスレイヤー」
　混沌（カオス）を治め、聖印（クレスト）に至れ。世界が終わる、大毒龍ヴァレフスが目覚める。