第２話「風と炎の魔神」
■次の目的地は
　混沌の竜を倒し、マイオスの村で国を立ち上げることを宣言したグラスヴァール。その評判を聞いて、かつて彼が治めていたエルバの商人ドレンゴがやってくる。ドレンゴは援助を申し出るとともに、エルバの窮状を訴える。今エルバを治めているのは、アシュフォード家を裏切りダーンダルク城陥落を招いたバトレー・アスプリオス将軍であり、その圧政によりエルバの町は今では「悪徳の町」と呼ばれる有様だという。話を聞いたグラスヴァールたちはエルバ奪還を決意するが、今のままでは戦力が足りない。そのため、手分けして戦力を集めたり、魔法師協会の援助を仰ぎに行くことになった。
（この世界では、ロードの治める国は魔法師協会から援助を受けられる。具体的にはポーションなどのアーティファクトがもらえたりする。かなり重要）
　一方、グラスヴァールの父の仇、アントリア子爵ダン・ディオードの下にもグラスヴァールの評判は届いていた。しかし、今はまだ気にかけるほどでもないと考えるダン・ディオードは、まず腐敗したエルバに七剣騎（セブンソード）の一人、餓狼の騎士ヒュラムを派遣する。

■恋愛問題の始まり
　グラスヴァールたちが出発する直前、マイオス村の村長の娘シンシアがグラスヴァールに「エルバ奪還後どうするつもりなのか」を尋ねる。それに対しグラスヴァールは「自分はこの村で国を立てたのだから、この村を離れるつもりはない」と答える。それを聞いたシンシアは安心した様子でグラスヴァールを見送った。
＃後になって、この約束がその場しのぎだったことが判明するのだが。

　まず、グラスヴァールとノイの2人は、ヴァレフール伯爵領ドラグボロゥ城へと赴き、エルバ奪還のための助力を求める。しかし、ブラギス伯爵は自分は手出しする気はないと答え「もし同盟したいなら、せめてダーンダルク城を取り返してから来い」と、すげなく追い返される。このままでは帰れないと、2人は伯爵の妾腹の娘、騎士ヴェラ・インサルンドにも会いに行く。彼女は、グラスヴァールの聖印の輝きに将来の可能性を認めるも、表立った援助はできないと話す。しかし、いつかトランガーヌ子爵領を取り返した暁には、グラスヴァールが彼女の後ろ盾となることを条件に、ルガード家への紹介状を書き、これで兵が借りられるだろうと話す。

■サリクスでの出会い
　その頃、フレアとアーノスは、ヴァレフール伯爵領の一都市、アーノスの故郷サリクスへ来ていた。ここには魔法師協会のブレトランド支部があり、そこで国の登録と援助を受けるためだ。支部に入ると、受付にはアーノスの許嫁ユリシアがいた。アーノスは驚きつつも積もる話は後にして、ひとまず手続きを済ませることにした。ロード本人（グラスヴァール）がいない事で一悶着起きつつも、魔法師フレアの説得によって無事に手続きを終わらせた。
　その後アーノスは実家に顔を出したのち、ユリシアと2人で食事をしつつ話をする。アーノスがどうしているかを知るために魔法師協会で事務員として働いていたというユリシアに対し、アーノスは、今はまだ帰れないがいつか必ずユリシアのもとへ帰ってくると誓う。
　一方フレアは、魔法師協会で会った旧知の魔法師ルナとひとしきり口喧嘩した後、錬金術師オーガスタの情報を聞く。オーガスタは人工邪紋使いを作ったり、邪紋使いをさらに強化するなどの人体実験によって投獄されていたという。去り際に、ルナは次に会うのは戦場かもしれないと告げる。

■ネーレの探索
　ネーレは単独でエルバに入り、情報収集を試みていた。そんな中、ネーレは自分に似た雰囲気を持った赤い髪の少女と出会う。彼女と屋台の食べ物をめぐって争いあった後、気になったネーレが後をつけると、少女は領主の館へと入って行った。その後、ネーレは花売り娘シモーヌを通じてレジスタンスと接触し、渡りをつけた。そこには、ネーレと同じ里のタツマキや、四天王の一人キャプテン・シルバーの事を知っている船乗りジム・ホーキンスもいた。タツマキから里の生き残りがいるらしいと聞いたネーレはぜひ探し出そうと心に決めた。

■情報収集
　一旦合流した後、グラスヴァールが1人でサリクスへ行き、ルガード家から兵を借り受けることになった。また、情報収集の結果、四天王の一人マスター・ペガサスは辿り着くのも困難な孤島に籠もっている事が分かった。
　残りの4人がエルバの町で情報収集をすると、錬金術師オーガスタが領主に仕えており、人間を集めて何やら行っていることが分かった。また、領主のバトレー・アスプリオス将軍は、辺境でダン・ディオードの目が届かないのをいいことに民を省みない贅沢な暮しをしている事が分かった。
　エルバ近郊の町で四天王の黒騎士について調べていたノイの前に餓狼の騎士ヒュラムが現れる。ヒュラムは「黒騎士は死んだ」と話し、グラスヴァールに多額の賞金がかかっている、しかし見所があればグラスヴァールもダン・ディオードは配下に加えるつもりである、と言って去っていく。また、ヒュラムは謎の荷車を引き連れていた。
　ネーレは先日会った赤い髪の少女を探し出す。彼女は「本当はナルディアと言う名前だが、七番目なのでナナと呼ばれている」などと話す。館のことについては口が重くあまり話そうとしないが、一緒に甘いものを食べたりして交流を深めていく。そんなネーレの所に、里の生き残りが接触してくる。彼はネーレが長となってダン・ディオードと戦うなら力を貸すと話し、ネーレは力強く頷く。

■黒騎士を継ぐもの
　夜、PCたち4人はレジスタンスの拠点に集まった。ノイが黒騎士に仕えていた魔法師バリントンに尋ねると、やはり黒騎士は死んだと答える。さらに、四天王の"紅の射手"ラクサースの矢が敵陣から飛んできたという証言もあった。また、ノイが船乗り、航海士ジム・ホーキンスから話を聞こうとすると、逆にグラスヴァールの真意を尋ねられる。それに対しノイは「グラスヴァールは最終的にはこのブレトランド小大陸統一を目指している」と（勝手に）公言する。それを聞いたその場の面々は「話してくれればよかったのに」などと、この場にいない本人をよそに盛り上がりを見せた。

　その後、グラスヴァールも到着し、決起の準備を整えつつある頃、花売り娘シモーヌはグラスヴァールになぜ黒騎士にこだわるのかを尋ねる。グラスヴァールが黒騎士への尊敬の気持ちなどを話すと、彼女はグラスヴァールとノイを森の中へ連れていく。そこには、花の手向けられた墓が建てられていた。そして、シモーヌは黒騎士の妹として、兄が確かに死んだこと、兄の遺言でグラスヴァールに協力する事を話す。それに対し、彼女を気遣ったノイは思わず「花屋の娘に何ができる」と口にする。すると彼女はそこらにあった枝を手に取り、兄譲りの太刀筋を見せる。それを見たノイも先ほどの発言を詫び、シモーヌも決起の一員に加わることとなった。

■ギロチンの音
　ついに決起の時、グラスヴァール達の前にバトレー将軍とそれに従う錬金術師オーガスタが立ちふさがる。オーガスタの隣にはナルディアの姿もあった。ナナ（ナルディア）を物のように扱うオーガスタに対しネーレが怒りを露にするが、ナルディアは「こうするしかない」と呟いた。
　そして、マスコンバットルールを使った戦闘が始まる。風と炎の魔神と化したナナの高い戦闘力と、錬金術師オーガスタの味方をも巻き込む魔法、そしてバトレーの支援も相まって苦戦を強いられる。激戦の末ナナは致命傷を負って倒れ、オーガスタはネーレの一撃で命を落とす。ここに至って、バトレーは逃げ出そうとするが、そこに餓狼の騎士ヒュラムが到着し、バトレーを捕らえる。
　ヒュラムはグラスヴァールに対し「エルバの町を渡すならこの場は見逃す」と言うが、グラスヴァールは拒否する。それを聞いたヒュラムは、今の言葉はグラスヴァールを試しただけだと告げ、悪政を敷いていたバトレーを処刑するという任務さえ達成すればこの町をしばらくは預けておこうと言った。
　致命傷を負ったナナはネーレに看取られて息を引き取り、後には混沌核が残された。ネーレは深まるダン・ディオードへの憎しみを抱きながら混沌核の浄化をグラスヴァールに頼んだ。
　その後、エルバの町の広場でバトレーの処刑が行われた。ヒュラムが連れてきていた荷車の覆いを取ると、そこにはPCは見たこともない処刑器具ギロチンがあった。ギロチンにかけられ処刑されるバトレーを見て民衆たちは恐怖を覚えつつも悪政からの解放を喜んだ。そしてグラスヴァールも、いつか必ずダン・ディオードを倒すことを心に誓いつつ、ひとまずエルバ奪還を喜ぶのであった。

【幕間】
グラスヴァール軍の初戦勝利の報は、様子見を決め込むヴァレフール伯爵領にも届いていた。老王ブラギス、聡明な長子ワトホート、武勇の次子トイバル、切れ者の長女ヴェラの4人が会合をしていた。

長兄「初戦を勝利したか。悪徳領主の処刑を見せ物にするとは、風変わりな男だ。だが、堅牢なダーンダルク城を攻略できるかな」
次兄「戦いは数だよ、兄貴。城砦攻略には守備側の3倍の戦力が必要というが、同数どころか半分の兵力も無いのでは勝ち目はない」「何だ？　何がおかしい、ヴェラ」
長女「兄上も意外と甘いようで。君主の戦いで最も重要なのは〈聖印〉でしょう。彼の可能性は底知れません」
国王「そうか、ヴェラはあの若僧にご執心だったな。この戦でダン・ディオードの戦力が削がれれば、それでよい。もしもグラスヴァールが勝利したら、その暁には彼の要望通りに同盟を契約しようではないか。ヴェラ、よいな」
長女「彼と組めば、ブレトランド小大陸の統一も夢ではありません」

【トレーラー】
難攻不落と謳われたダーンダルク城が内通者の手引きにより陥落してから半年が過ぎた。落ち延びた王子は辺境の村で挙兵し、地方都市一つを奪還するまでに至った。その評判は各地に及ぶ。いずれブレトランド小大陸を統一する可能性、伯爵の長女と将来を約束したとの噂、民の声を聞く名君との評判、悪徳君主を断罪したギロチンの音。今が首都奪還のときだ。信念の旗のもと、起て国民よ。
グランクレストRPGキャンペーン第3話「逆襲のグラスヴァール」
　混沌（カオス）を治め、聖印（クレスト）に至れ。戦いの果てに待つのは栄光か死か。