第１話「魂歌は霧の彼方に響いた」

■オープニング01「戦いの意味」：地球人、テツ（牧村徹平）
ＴＶのニュースなどを見て、社会正義に目覚めるテツ。
「オレ、カメラマンになるぜ」
その決意には、優秀な兄へのコンプレックスもあったのか。しかし、現実は甘くはなかった。某国（東南アジア、ガモン共和国）の戦場。テツは、自分の不注意から流してしまった情報により、虐殺を引き起こしてしまう。苦しむテツだった。ある日、子どもを助けようとして、自分が地雷を踏んでしまう。意識はブラックアウトし、気がつけば異世界に。ジェスタ神殿長タツミに助けられ、その縁でジェスタ信者として職業訓練を受け、そのうち「神殿間協力事業員」いわゆる「助け人」として働くことになった。「人助けが仕事になるなんて」と感動し、自分がこの世界に来た意味を探している。

■オープニング02「鬼面杯」：豪快な料理人、ゾルム
　ところ変わってリアド大陸。鬼面都市バドッカでは「鬼面杯」なる料理トーナメントが行われていた。山奥で育ったゾルムは、粗野だが味の深い料理で勝ち抜き、都会の洗練された料理を作るモーリタスと決勝戦を争う。結果は引き分け、両者優勝。さらなる料理の道を目指すことになる。ゾルムは、この街ではじめて出会った数々のスパイスの味に戦慄する。「なんというウマさだ！わしをスパイス交易の船に乗せてくれい！」
　しかし船は水竜マハノチに遭遇し、敢え無く難破した。何者かに助けられ、ゾルムはウィスタリア近くの岸辺に流れ着いた。そのまま住み着き、北方料理の店「山海の恵み」亭を開いた。今は従業員のマズい料理を怒鳴りつけたり、神殿の仕事をしたり。そんな毎日。「なんだ！ こんな料理が食えるか！」

■オープニング03「魔剣」：逃亡奴隷、ティール
　シェイパー帝国は変身種族シェイパーが支配する国であり、人間は奴隷として扱われている。ある日、ティールは仲間とともにシェイパーの騎士に呼び出され、魔剣の試し切り にされる。必死の思いで魔剣を奪いとり、傷ついた友ジェイクとともに逃げる。「あきらめるなよ、ジェイク。ほら、国境なんてすぐそこだぜ！」（友を励ますための嘘）
　だが、やがてジェイクを連れては逃げ切れないことに気がつくティール。憂悶の末、気がつけば両手は友の血に染まっていた。「オレが、やったのか・・・」
　それ以来、一人でいると幻聴が聞こえる。戦闘の後は吐く。人といないと安心できない。

■農村からの依頼
『ジャナストラ冒険ガイド』にはこうある。
オクトバ村は湾岸都市ウィスタリアの東南方向、徒歩一日の場所に位置する。人口500人程度の農村だ。名産は米で、この村の米はカルシファード島出身の武人にも評判が良い。旧い遺跡があり、毎年秋の収穫後に銀月の異貌の神と龍との戦いを鎮魂する祭りが執り行われる。祭りをおろそかにすると災いがあると言い伝えられている。が、真偽のほどは定かではない。
実は、他にも同様の伝承の残る村、アロウィン村とアハト村が存在している。３つの村は湾岸都市ウィスタリアを中心にして三角形を描くように位置している。この事実は意外と知られていない。

秋のある日、「助け人」に依頼が舞い込んだ。やって来たのは、オクトバ村の“風読み”巫女のシンシアと、米俵をかついで同行して来た男、ロバートの二人組だった。 「村の祭りが近づいているのですが、数日前に何か光るものが落ちてきてから、村外れが霧に覆われてしまったんです。それ以来、何人も村人が消えているんです。なんとかしてください！このままでは祭りを無事に行うことができません」
　というわけで、テツ、ゾルム、ティールの3人はオクトバ村へ向かうことにする。ちなみに、頼み料は米俵と腹一杯の食事、というわけではなく「助け人」事業所から給金が出るのであった。

　途中、イアンなる少年が「鉱山に出稼ぎに行って連絡が取れない父ちゃんを捜してくれ」と言ってくるが、別件らしいので気にはしつつも他のパーティに頼むことにした。このメンバーはシティアドベンチャーは得意としていない、何より人探しが得意な「探し屋チャーリー」のメンバーに任せることになった。

　オクトバ村に着くと、確かに村はずれが霧に覆われている。ひとまず落ち着いて、食事をしながら村人の話など事件の始まりの状況を聞くことになる。そうこうしていると、流れ者冒険者の一団がやって来た。「夢の狩人」と名乗る、アルリアナ信者ナスターシャをリーダーとする４人組だ。事件を聞き、依頼料をせしめようとやってきたという。「どうだい、事件を先に解決した方が依頼料をもらうってコトで？」
その提案を飲み、ひとまず霧までは一緒に行くことにする。ティールの「人数が多い方がいい」という主張により、言いくるめられた“風読み”シンシアと祭りの太鼓叩きシュタインさんなども交え、がやがやと霧を調査に行く。

■霧の中へ
　テツ、ゾルム、ティールの3人に村人のシンシアとシュタインを加えた５人で霧に入って行くと、聞こえてくる太鼓の音。シュタインの説明によると、消えた太鼓叩き見習いタクトの太鼓の音らしい。よく聞けば、人を惑わす響きがある。そこへ現れる祭り装束の村人が２人。彼らも消えた村人である。入り口の門番らしく、斧を構えて「祭りだ。物騒なものは置いていけ」と警告してくる。ティールたちは武器を手放すのを拒否し、まだ祭りは始まっていないと言ってみるが、村人は聞く耳をもたない。どうやら正気ではないらしい。果ては「置いていかんつもりなら」と襲いかかって来て、戦闘となる。3人は手加減しつつ彼らを制圧した。ぐるぐる巻きにして抱え、先へ進むことにする。

　その後、「射的をやっていかんかね」などと弓を撃ってくる屋台の男に出会ったりしつつ、更に先へ。進むたびにタクトの太鼓の音は大きくなり、抵抗に失敗したシュタインさんなどは「太鼓が叩きたくなってきたぜ」などと言い出す。どうやら霧に消えた村人はこの太鼓の音に操られているらしい。

　しばらく進んで行くと、先刻までとは雰囲気の違う二人組と出会う。タクトと同時期に行方不明になった友人ボルケーノとゲンザらしい。彼らは操られているワケではないようなのだが、「いいから俺たちの歌を聴け！」などと言って、やはり会話が成立しない。「まぁ勝手に歌っといて」と放置して行こうとするが、彼らの魔法的な音楽に捕まり、聞き惚れてしまう。一人抵抗に成功したテツが、実力で彼らの歌をやめさせようと奮闘。あわや流血の事態、となる直前でなんとか音楽をやめさせる。歌を聴いてやったためか、やっと彼らとコミュニケーションが可能になった。「タクトは俺たちを裏切ったんだ！」と言って、事件の真相を語り始めた。夜に村はずれで、彼らはタクトと三人で新しい音楽「ロック」を練習していると、天空からタクトになにか光が落ちてきて当たった瞬間、タクトは六本腕の怪物に変化した。「これで一人で音楽が出来るぜ！」と叫んでバンド解消となったらしい。ボルケーノとゲンザは「三人で新しい音楽をやっていこう、って誓ったのによ！」と、タクトが六本腕になったことは気にしていない様子。ネジが抜けすぎているようである。

　「ロック」に理解がない村人を愚痴る彼らに、ゾルムは街へ出て来て自分の店で演奏したらどうだ、などと誘ったりしつつ、彼らからタクトのいる場所を聞き出した。そこへ向かうことにする。話を聞いて、ティールたちはタクトが怪物化した原因は「次なる色彩」であると気が付いた。「次なる色彩」とは、取り憑いた人間の欲望を具現化させたり、その人間に都合のいい世界をつくったりする謎の物体である。第８の月になる欠片とか、新たなルナルの大地となる、などと様々に言われているが、それが何なのかは不明である。そして、最近「次なる色彩」がらみの事件が頻発しているのだ。

■人形は踊る
　祭り広場の中心、高台になって周囲を見渡せる場所に一心不乱に太鼓を叩き続ける少年がいた。六本腕に四本のバチを持ち、六個並べた太鼓を器用に叩いている。この少年が、怪物化したタクトだ。その前にはタクトに操られているらしい、２体の怪物が音楽に合わせて演舞していた。一体は龍、一体は岩石魔神、古の戦いを再現する祭り人形が魔力により動いているらしい。周囲では操られた村人たちが祭りを行っていた。話をしようとするも、タクトは「オレは太鼓が叩きてぇんだ！」などと交渉不能。戦闘になる。

　ここで、最強戦力ゾルムは太鼓の音に惑わされて、祭りに参加したくなってしまう。（だが、プレイヤーが機転を利かせて）「屋台の食材にしてやるわ！」などと言って怪物に攻撃を仕掛ける。もっとも、テツと共に怪物２体を倒した後はテツに斬りかかったりしていたが。

　ゾルムとテツが怪物を制して、ティールがタクトを止めに向かう。ティールの魔剣が六本腕のタクトを貫き、その血を啜る結果になった。「次なる色彩」の魔力による無理な変身で肉体に過剰な負荷がかかっていた副作用か、タクトの肉体は崩壊していく。「次なる色彩」はタクトの肉体を離れ、天に昇って行こうとするが、その瞬間、流れ者冒険者の一行「夢の狩人」が現れた。ナスターシャは九節鞭を振るって空中の「次なる色彩」を奪い取った。ティールは「何のつもりだ」と詰め寄るが、「これで夢を叶えるのさ」と言い捨て、振り切って逃げ去った。

■勝者は農民たち
　結局、「次なる色彩」を流れ者冒険者たちに奪われはしたが、霧は晴れ、事件は解決した。祭りで使う人形を破壊してしまったたため、その修理など、祭りの準備を手伝うことになった（主に荷運び力仕事や炊き出しの手伝いなど。直接の修理は技能のある村人たちが担当）。２日間ほど手伝った後、父を捜してくれと言っていたイアン少年の件も気になり、いったん街へ帰り報告を行う。どうやら探し屋チャーリーが鉱山町へ調査に出掛けたらしい。安心してオクトバ村へ戻り、祭りが無事に遂行されることを見届けた。これで「祭りを無事に行えるように、問題を解決すること」という依頼は完了した。
祭りの翌日、湾岸都市ウィスタリアの助け人事務所へ帰って報告などをしていると、イアン少年の依頼を受けて鉱山町へ行っていたはずの同僚のガヤン信者ディックが戻って来た。疲れたように戸口にもたれかかり、ゾルムが肩をかそうとすると前のめりに倒れる。鎧は傷だらけ、ソードブレイカーは折れている。満身創痍の彼はそのまま絶命し、助け人たちに緊張が走った。 　

【次回予告】
殺人事件発生。
鉱山町に到着したテツたちを待っていたのは、ガヤン神殿の捜査本部だった。
「事件は君たちの都市ではない、我々の管轄地で起きた」
よそものは捜査に参加できない。法の網を抜け、活動できるのか。友人の消息、20年前の因縁、「次なる色彩」の秘密を求め、来訪者は惑う。

次回、ガープス・ユエル・キャンペーン第２話「復讐鬼は闇に笑う」 月光の煌めきが来訪者を呼ぶ。
名探偵(?)ガント、捜査官ケネス登場

第２話「復讐鬼は闇に笑う」