第４話「月影」

■井川芹奈、恋のあと
　水野次郎を倒した一行は行き場のなかったジェシカをつれて、一旦ホテルに戻った。ホテルでテレビニュースを見ると、アメリカ合衆国の大統領候補ハートマンがテロにより負傷と言うニュースが。伏せられていたが、覚醒者同士の交戦が行われたようだ。また、ラインゴルト社のCEOライナー・ハインリッヒが文化交流のため来日しているというニュースもあった。

　鬼塚（PC2）を除く４人は京都に帰ることにし、鬼塚（PC2）は大神会を復活させるため、大神会組長の甥である鳴神雄基のいる北海道へ行くことにした。東京駅で土産物などを見ていると、一人の女性がナイフを隠し持って接近してくる。ナムリ（PC4）と柳原真理（PC5）は気付くが、警告を発する前に藤間（PC1）が「あの人の仇」と叫びながら刺された。不意討ちである。一般人なら一撃で倒れてもおかしくはない重傷に覚醒者の耐久力でなんとか耐える。異変に気付いた橘文雄（友田）がナイフを取り上げて、とりあえず女性はおとなしくなった。ナムリ（PC4）は結界を張っていたが、最初の一撃には間に合わなかった。一般人たちの騒ぎを避けるため場所を移動して、話を聞くことにした。女性は井川芹奈と名乗り、藤間（PC1）が血を吸って殺した春日五郎太の恋人と言った。この仕事が終われば出世できるから結婚しようと、将来を約束していたらしい。苦い気持ちを感じながらも、橘文雄（PC3）が説得して、その場はおさまった。

■北の国から
　鬼塚（PC2）は羽田空港に向かったが、季節はずれの台風によって飛行機は全便欠航ということだった。鉄道を利用して陸路で向かうと。青函トンネルは自衛隊によって封鎖されていた。鬼塚（PC2）は船を出してくれる漁師を見つけ、深夜３時に出航した。謎の敵による銃撃を快漁師による抜群の操船でかいくぐって、北海道に上陸することに成功した。そこは見たことのない軍服を着た軍人によって制圧されていた。鬼塚（PC2）はなんとか警備をかいくぐり、鳴神雄基のところに辿りつくことが出来た。美幌町の牧場で静かに暮らしていた鳴神雄基だったが、鬼塚（PC2）の説得により東京に向かうことを決意し、ともに東京へと向かった。北海道にいた部隊については、鳴神雄基の話や、その後のヴァーミンイーターの調べにより、「鋼の騎士団」と言い、秘密結社"THE NEXT"の欧州支部の残党が再結成したもので、ナスターシャが率いていることがわかった。

■悪魔を殺して兵器なの
　４人が京都に戻った翌日、橘文雄（PC3）が警視庁から呼び出された。警視総監の飛岡猛志に会って、地下の秘密会議室に導かれた。そこでは４人の人物が待っていた。ヴァーミンイーター京都支部長の山崎、車椅子の元装甲刑事こと宮司貴史、退魔師協会の占い師“星見”綾小路観和、光蓮宗の泉兆。危険な悪魔憑き（覚醒者）に対抗する調停者会議に加盟する４団体から代表者が集まっていた。議題は藤間宏文（PC1）の危険生物認定であった。東京駅での襲撃事件、藤間宏文の変身および吸血シーンが何者かによってネット上にアップされていたこと。それらが問題視されている。強硬派は「即刻に危険認定して、人権剥奪および抹殺すべき」と主張していた。なんとか橘文雄（PC3）が説得して、とりあえず一か月ほど様子を見ることになった。また、藤間が眠っていた秘密基地跡を改装し、新たに秘密基地として使用させてもらえることになった。

■トライアングラー？
　京都に残った３人のもとに坂本千絵が戻ってきた。激しい戦いが待っていることを予感し、百人の仲間を連れて来たという。たとえば、引きこもりを説得したり、離職したフリーターに声をかけたり、いわゆる格差社会の底辺にいる若者たちをスカウトしてきたらしい。だが、藤間（PC1）はみんなを実家に帰すように言った。ジェシカと坂本千絵が藤間をめぐって険悪になっていたところに、十六夜サヤという人物が助けを求めてきた。彼女はハートマンの秘書で、今まで藤間（PC1）の戦いをスパイ活動してきたらしい。いわゆる、コウモリ女の正体らしい。先日の戦闘でハートマンがジークフリードに倒され、その仇をとってもらいたいと言うことだった。説得すると、十六夜サヤはとりあえずハートマンの安否確認のためアメリカ合衆国に帰国した。

■ゲームの決着
　洛北大学の講師である橘文雄（PC3）のもとにラインゴルト社から文化史関連で面会希望が出された。ラインゴルト社はゲームなどを通して平和活動をしている会社だ。助手を連れてきてもいいということなので、橘文雄（PC3）は藤間（PC1）を伴って向かうことにした。京都迎賓館では、ラインゴルト社CEOのライナー・ハインリッヒと３人の人物が待っていた。妻のヒルダ、部下のハンス・ミューラー、そしてイラン支社のシンドバット。藤間（PC1）はライナーに何か感じるものがあった。どうやらライナー・ハインリッヒこそがジークフリードらしい。ライナーは、ボードゲームこそ戦争を回避する平和的手段だと言った。さらに現在の地球の状況を憂い、世界は誰かが一つにまとめるべきだと主張した。藤間（PC1）は、世界は一人だけではなく大勢の力によって変えていくべきだと答えて分かれた。

　ナムリに裁定者ラーフからのテレパシーが届いた。藤間（PC1）が目覚めてからちょうど一ヵ月後の満月の夜、御所公園で決着をつけるということだった。千絵とジェシカをおいて御所公園に向かう五人。そこではジークフリードを含む４人が待っていた。シンドバットの正体を質問すると、パラケルススの作った賢者の石ダミーにより月の石を抜き取られた後に蘇生したらしい。
　ナムリは裁定者ということで最初は戦闘に参加せず、藤間（PC1）の意向で一対一の決闘を避けて四対四で戦闘を開始した。藤間（PC1）と柳原真理（PC5）が超暴走するほどの苦戦であったが、途中で天啓を受けたナムリが参戦したこともあり、辛くも勝利を収めた。“ジークフリード”ライナー・ハインリッヒとヒルダは暴走もせずに敗北を認めた。
　賢者の石ダミーを使い、殺さないようにして月の石を抜き取り、ついに藤間（PC1）が月の石の欠片６つをそろえた。すると満月から等身大の直立した兎の幻像が現れた。彼女は自分を「ルナビットのかぐや」と名乗り、願いを一つかなえてやると言ってきた。藤間（PC1）は「月の石の力を封印し、ただの人間になりたい」と願った。

　かくして月の石をめぐる秘密結社"THE NEXT"の魔王子たちの闘争、月影計画は終わった。勝利者の祈願により王の力は封印された。

『デモンパラサイト』キャンペーン第一部「魔王子」編　完

【次回予告】
勝利者などいない。せっかく６人の魔王子の闘争を勝ち抜いた藤間だったが、王の力は封印された。それから３年。橘龍太郎教授の秘密計画が発動し、世界は第六世界への覚醒を迎える。そして、新たなる敵が出現する。
エリカとジェシカの姉妹の記憶に隠された秘密とは!?
大神会のルーツとは？　
裁定者ラーフの真実はいかに。
はたして藤間は主人公の座を守れるのか。
次回デモンパラサイト・キャンペーン第５話 第二部「降臨者」編開始「ウォー・オブ・ザ・ワールド」

第５話「ウォー・オブ・ザ・ワールド（宇宙戦争）」