最終回（第７話）「王の帰還」

■宇宙の戦士
　ティタン星では何もかもが巨人サイズで生活しにくいので、衛星アテナイに滞在するPCたち。1カ月あまり、橘文雄（PC3）は操船技術の訓練をし、他の４人はドラッケン語会話教室に通って地球艦隊を待っていた。また、ティタン星の情報局員ロキから、ドラッケン星の情勢や警備状況、裏社会についての知識を聞くのであった。ドラッケン星を治める三巨頭とは、偉大なるオクタヴィアス、悪魔狩りアントニウス、千里眼のレピドゥスの３人で、ディアボロス星人の天敵と呼ばれる恐ろしい能力を持つらしい。また、火星指揮官が藤間宏文（PC1）たちディアボロス星人共生体に敗北した事実も伝わっているらしい。その対策として、エネルギー吸収スーツを使用するだろうことも知った。

　ティタン星の時間で約1カ月後、15光年の超光速航行を終えて、地球艦隊が到着した。艦隊司令の飛岡猛志は「変わらないな」と橘文雄（PC3）に声をかける。地球艦隊は、旗艦アシモフ、戦闘母艦ハインライン12隻、潜宙艦ハミルトン8隻、探査船クラーク2隻という23隻の編成である。戦闘母艦ハインラインにはトライポッドをもとに開発した可変戦闘機を搭載し、降下兵部隊（トゥルーパーズ）も乗り込んでいる。各艦の艦長には、ナスターシャ、“ジークフリード”ライナー・ハインリッヒ、大神会の鳴神雄基といった昔馴染みの面々もいた。
　探査船クラークから通信が入り、宇宙帆船アルテミス号に亜空間フィールドを搭載するため改造作業を行ないたいと言う。藤間宏文（PC1）は接舷を許可した。中学生くらいの 美少女がやって来て「おじさま」と歓声をあげた。美少女、松田絵理は藤間宏文（PC1）の従姉、千絵の娘だった。新生代の天才児（アルケミースターズかニュータイプかスターチルドレンか、名称未定）の一員として、宇宙船の開発に携わっていた。両親も、保護者として付いて来ていた。松田康介の調査により、宇宙帆船アルテミス号は機能の10％しか使用していないことが判明した。アルテミス号の分身D.D.（ディーツー）を問いつめるが、今の藤間宏文（PC1）の能力では使いこなせないとごまかされた。機能の封印を一部解除して、亜空間フィールドと大気圏突入／離脱能力、流星偽装などの能力を使用可能にした。

■救世主伝説、奔る
　地球艦隊にはドラッケン星の制宙権の外ぎりぎりに待機してもらい、宇宙帆船アルテミス号が一隻でドラッケン星に潜入した。宇宙帆船アルテミス号を的確に隠し、ナムリ（PC4）たちは宇宙ライオンの背に乗って首都の下層にある貧民街に向かった。この星では、飛行できない者は高層建築の上階に行くことすらできない。下層民は文字通り、地上で単純労働などを課せられて生活していた。ナムリ（PC4）たちの姿を見て、「白き救世主、ライオンの背に乗りて現れる」という伝説は本当だったのかと、翼なきドラッケン星人、下層階級の民に動揺が広がる。だが、下層民はあまり情報源になりそうになかった。囚人らしく鎖を巻かれたゾダーニ人を見つけ、接触するのだった。ゾダーニ人は感知魔法でPCたちの戦闘力の高さに気付いて驚嘆する。藤間宏文（PC1）が変身して鎖を破壊すると、その見返りに「高い城」の情報をくれた。ゾダーニ人は暗殺目的で潜入し、いろいろ調査した後で、実行に移す前に微罪で捕まって労働囚になったのであった。さらに、下層階級の頭領格と話をつけ、武装蜂起の段取りが整った。

■高い城の三巨頭
　そして時を同じくして、人民の武装蜂起、地球艦隊による衛星軌道上の制圧、特別攻撃部隊による「高い城」への襲撃という三方面作戦で決起した。
　三巨頭に対し、ナムリ（PC4）は王族の末裔を名乗り、宣戦布告する。悪魔狩りを趣味とする三巨頭との戦いが始まった。悪魔狩りアントニウスによる「磁極侵食」で防御能力を封じられ、偉大なるオクタヴィアスが「穿つ蒼炎」でナムリ（PC4）と柳原真理（PC5）の常時の強化能力を封じる。そして千里眼のレピドゥスが散開する前の密集しているPCたちの範囲に対し「共生解除」を試みた。悪魔化変身が強制的に解除され、危機に陥る。だが、柳原真理（PC5）だけが間一髪で回避していた。全員の負傷を治癒し、反撃が始まった。ナムリ（PC4）は幻覚攻撃で敵を翻弄した後、超暴走し、王族の圧倒的な実力を見せつける。悪魔狩りアントニウスを倒し、三千年の長きに渡る因縁を一つ晴らした。藤間宏文（PC1）は、火炎攻撃を吸収するエネルギー吸収スーツに対抗する、たった一つの冴えたやり方を思い出していた。「力が欲しいか。ならば契約しろ」とD.D.（ディーツー）の声が脳内に響く。藤間宏文（PC1）は「D.D.（ディーツー）と共に、ディアボロス星人の敵と戦う」と契約し、ついに月の石（ルナティックストーン）の力、ディアボロス・ロードの能力の封印を完全に解除した。その力を使って、氷炎の剣を光の剣に変換し、衝動で2倍化したパワーで偉大なるオクタヴィアスを倒した。残り１人になった千里眼のレピドゥスは助命嘆願をする間もなく、集中砲火によって倒された。

■幻魔との対戦
　高い城の通信設備を使って、ナムリ（PC4）は勝利宣言の演説を放送しようとする。途中でジャミングが入り、ジェシカが現れた。ジェシカは、この星はウイング星人がもらうと言い、正当性を主張しようとする。衛星アテナイでウイング星人の生き残りの青年リヒテルと懇意になり、いろいろ知って感化されたのだ。話をしているうち、倒れている三巨頭から漆黒のオーラが立ち上り、その場にいる全員に邪悪な衝動を与えようとした。
　だが、緊急変身した５人は、必死に抵抗した。誰一人堕ちることなく、邪悪な意志に対峙した。ジェシカだけは邪悪に囚われ、最終能力フォールンバスター／アビスゲイザーを放つが、ここ一番が使い時だという橘文雄（PC3）の氷城鉄壁に阻まれた。5人対1人となり、戦闘はあっさり決着がついた。
　まだ息のあったレピドゥスを治癒し、事情を聞き出した。「邪悪な意志」とは民衆の悪意などを反映したもので、実体をもたないため完全に滅ぼすことはできない。一時的に力を失ったので、しばらくの間は何もできないだろうという意見であった。情報提供と引き換えにギロチンを免れたレピドゥスは国外追放処分と決まり、惑星ソラリスに流されることになった。

■夢の船乗り
　ナムリ（PC4）が王政復古の演説を行ない、三千年の長きに渡り続いた三頭政治は終わりを告げた。ナムリ（PC4）が王に即位し、ラーフが補佐する。橘文雄（PC3）も立憲君主制となった新政権の基盤固めを協力するため、ドラッケン星に残ることにした。
　柳原真理（PC5）はジェシカを説得し、ウイング星人の新天地として未開の惑星をテラフォーミングして住むことを提案する。ジェシカやその仲間たちはその提案を受け入れる。地球とウイング星の科学力があれば、いつか必ず実現するだろうと希望的に思うのだった。
　鬼塚悟郎（PC2）は潜宙艦ハミルトンのうち1隻を駆る大神会の鳴神雄基たちと合流した。宇宙には、海賊となっている流浪のヴァルナ星人の生き残りがいる。彼らを大神会の傘下に組織化し、宇宙海賊改め宇宙ヤクザとしてやっていこう、と壮大な構想に向かって旅立った。
　藤間宏文（PC1）は魔女D.D.（ディーツー）との契約に従い、ディアボロス星人の敵を滅ぼすため、新たな戦いに身を投じた。宇宙帆船アルテミス号は真の能力を解放し、ジャンプ航法とは桁違いの超光速ハイパードライブで十万光年の彼方へと旅立つ。

■影を走る
　数十年後、ドラッケン星のナムリ政権が安定したと思った橘文雄（PC3）は地球へ里帰りした。太陽系第三番惑星地球は、エルフ、ドワーフ、オーク、トロールらが人間と共存し、魔法と科学技術が発達した奇妙な世界になっていた。時に地球歴で21世紀後半のこと。だが、この世界の冒険は、また別のお話だ。
　はるか彼方へ旅立った藤間宏文（PC1）が銀河を制する日かもしれない未来の日も、また別のお話。

『デモンパラサイト』キャンペーン「D3: Dynamic doom of The Diabolous Lord」 完