第６話「惑星ソラリス」

■青春の旅立ち
　ドラッケン星人の火星基地に突入し、ひとまず地球への侵攻を食い止めた一行は、平和的解決のため第三勢力を探し仲裁を求める事にした。宇宙帆船アルテミス号を宇宙ステーションに停船させて、スペースシャトルを使って食料等の物資が積み込まれていく。着々と準備が進められる中、旅立つ者たちはそれぞれ家族や仲間に別れを告げた。藤間宏文（PC1）は従姉の松田千絵（旧姓：坂本）に。橘文雄（PC3）は洛北大学での最後の講義を行なう。柳原真理（PC5）のところには、弟の誠が結婚するといって挨拶に来た。鬼塚悟郎（PC2）の元には、情報屋の北岡が、井川芹奈と結婚するという報告に来た。井川芹奈とは、かつて水野組の一員、春日五郎太の恋人であり、その仇として一般人の身ながら藤間宏文（PC1）を殺そうとした女だ。鬼塚悟郎（PC2）は北岡に幸せになるようにと言い、大神会の事を鳴神雄基たちに託した。
　さらば地球よ。冥王星軌道上で最後の通信を行ない、地球の運命を背負った覚醒者たちは旅立って行った。

■宇宙の賢者シオナイト
　特に目的地を定めていない一行は、とりあえず近いアルファ・ケンタウリを目指すことにした。２回のジャンプを繰り返し、アルファ・ケンタウリ近くに着いた時、一行は正八面体の小型物体が２体飛来してくるのに気がついた。ラーフによると、それは宇宙の賢者と呼ばれるシオナイト星人らしい。彼らは未確認種族である一行に対して、ディアボロス星人やドラッケン星人テロ派などの危険な種族について警告してきた。さらに、ディアボロス星人には他の生物と共生するものもいると言った。
　一行はシオナイト星人に対して、ドラッケン星人との間を仲裁してくれるよう求めた。するとシオナイト星人は、もうすぐ琴座星系で星間連盟のサミットが行なわれると告げた。そのサミットの中心種族は、ドラッケン星人やシオナイト星人を含むギャラクシー８（Ｇ８）と呼ばれる８種族らしい。一行は情報に感謝し、シオナイトと別れた。

■大宇宙の魔女
　航海中、橘文雄（PC3）がアルテミス号の悪口を言うと、不意に20歳くらいの金髪の美女が現れ、橘文雄（PC3）をどついた。自分はこの船の魂であり、船のことを悪く言わないで欲しいと言った。彼女はダイアナと名乗り、D.D.（ディーツー）と呼んでくれと言った。その言葉を聞いたナムリ（PC4）は、彼女の名前がダイアナ・ディアボロスであり、ディアボロス星人である事に気づいた。D.D.（ディーツー）はそれを肯定し、ディアボロス星人である彼女の魂が船に移されたのだと言った。また、ディアボロス星人の母星は滅ぼされたものの、生き残りはいる、ということであった。

■亀を助けて
　救難信号をキャッチしたのでその方向に向かうと、カメのような形をした宇宙船が流線型の宇宙船とそこから出てくるパワードスーツに襲われていた。どうやら宇宙海賊に襲われているようであった。鬼塚悟郎（PC2）はそのパワードスーツが大神会に伝わる埴輪に似ていることに気づいた。停戦を呼びかけたが、反応は無い。新たな敵と認識されたのか、突然１隻の宇宙船が亜空間に潜り込んで姿を消し、アルテミス号に襲い掛かってきた。幸い、索敵士ナムリ（PC4）が潜宙艦の奇襲に気づき、鬼塚悟郎（PC2）が機関砲を撃って撃退した。反撃に驚いたのか、残りの海賊船も逃げていった。襲われていたカメ型宇宙船と通信すると、モニターに映ったのは、知的な印象を持った亀のような宇宙人であった。亀型宇宙人は、Ｇ８の内の１種族であるケローネ星人のジャーナリスト、ミランと名乗った。ミランは琴座星系で行なわれるサミットの取材に行く途中だった。宇宙海賊はおそらく生き残りのヴァルナ星人だろうという話であった。一行は自分たちの目的を話し、意見を求めた。ミランによると、Ｇ８中で最強の種族は体の大きいティタン族であるということであった。また、星間連盟に協力を求めるには、地球人が辺境の未開惑星ではなくて星間連盟に加入できるほど十分文化的であることを示せばいいだろうと言われた。その後、友好の証として、柳原真理（PC5）はミランに装身具を贈り、ミランは箱をくれた。箱の中には、彼らが宇宙海賊から助けてくれたという映像メッセージが入っていた。

■ライオンと密航者
　料理をしていた柳原真理（PC5）は、食材が異常に減っていることに気付いた。よく船内を探索してみると、ジェシカが密航していることに気づいた。ジェシカは、本物のウィング星人に会ってみたいのだと言い訳した。放り出すわけにもいかず、ジェシカは乗員の一人となった。柳原真理（PC5）は、自分は用済みなのかとパニック状態になりかけた。しかし、純粋のウイング星人といっても、ジェシカは科学者ではない。ウイング語を読解できて、情報処理にも長けている者は柳原真理（PC5）しかいない。航宙士の立場は変わらない。もっとも、第一部から料理にこだわるジェシカの方が料理は上手だ。料理長の役割は譲ることになった。

　宇宙空間を旅する一行に、今度はしし座ヴォルフ359の星系から叫び声のような音が聞こえてきた。発信源の惑星を発見し、降下船で地上に降りてみた。その惑星では、１頭のライオンが岩の中に閉じ込められていた。近づくと、そのライオンはナムリ（PC4）にテレパシーで話しかけてきた。ライオンはナムリに「モンジュどの」と呼びかけた。ひとまず藤間宏文（PC1）が岩を壊し、ライオンを助け出した。ライオンはレーベンと名乗り、約三千年前にドラッケン星の政治犯の逃亡を助けた罪で投獄されたと語った。そのドラッケン星の政治犯とは、モンジュとラーフということだった。詳しい話を聞くため、一度アルテミス号に戻り、ラーフにも話を聞いた。ラーフによると、モンジュはドラッケン星の王族だったが、クーデターによって国を追われた。ラーフと共に辺境の地球にたどり着き、帰化して仏になったのであった。ナムリ（PC4）は、亡命者モンジュの息子の転生の転生であった。真相を語ったラーフはこれまでの態度を改め、ナムリ（PC4）を「若」と呼ぶようになった。また、この他にも流刑惑星があることも分かった。

■宇宙の漁師、デカルチャー
　わし座のアルタイル星系にはティタン星と流刑惑星エリュシオンがあると聞いて、一行は政治犯に話を聞いて情報を得るか、あるいは政治犯を解放しようと考え、わし座星系へと向かった。
　ティタン星の近くで電波を傍受すると、ティタン星人は質実剛健で武を重んじる種族であることが分かった。電波傍受をしていると、アルテミス号にティタン星の巨大な宇宙船が近づいてきた。
　一行はティタン族と交渉するため、ティタン星に降りることにした。ティタン星人の姿は地球人に似ているが、身長５mほどもある巨人族であった。一行はティタン星の外交官と会い、ティタン星の翻訳機を借りて話をした。ドラッケン星人と地球人との間の仲裁を求めると、ティタン星人の外交官は、まず地球の文化を見せて地球人が文化的であることを示せ、と言った。そこで、柳原真理（PC5）は料理をしようとしたが、ティタン星の食材はとても大きく、作業は難航した。鬼塚悟郎（PC2）はポーカーをして見せた。衝動でカードを叩きつけたところを、メンコだと誤解されて幸いとなった。そして、藤間宏文（PC1）は日本の歌を歌い、演歌の心を伝えた。この演歌が効果的に成功し、元漁師だった外交官は宇宙クジラ狩りを懐かしんで感涙した。ドラッケン星人の提案による禁漁に恨み言をいい、密かな敵意も表わすのであった。外交官は地球人が文化的であることを認めた。
　態度が協力的になった外交官は、ドラッケン星についての詳しい話を教えた。ドラッケン星は三千年前のクーデター以来他の星を侵略するようになったという噂があるということが分かった。さらに、詳しい話は流刑惑星エリュシオンにいる政治犯ラダマンティスに聞けばよいと言われたので、一行は流刑惑星エリュシオンに向かった。

■ソラリスの陽のもとに
　しかし、流刑惑星エリュシオンに降り立った覚醒者たちは奇妙な感覚に襲われた。そして、いつのまにか橘文雄（PC3）は死んだはずの父親と話をしていて、自分が高校生に戻っていることに気づいた。橘文雄（PC3）が学校に行くと、藤間、鬼塚、柳原も高校生に、ナムリは教師になっていた。彼らはその状況に全く疑問を抱かず、平和で楽しい日々を過ごしていた。ナムリ（PC4）にラーフからテレパシーが届き、何かがおかしいことに気付き始めた。しかし、他の４人にそれを伝えても彼らは笑って取り合わず、そのまま幸せな高校生活を送っていた。そんな中、橘文雄（PC3）は父親と話をしているときに、高校生の自分が知るはずの無い知識を知っていることから、この状況がおかしいことに気がついた。すると、周囲の様子が変わり、なだらかな海の広がる風景となった。そして、他の４人を見つけ、声をかけると正気に戻った。なぜこんなことが起こったのか考えたところ、柳原真理（PC5）はこの惑星エリュシオンの異名が惑星ソラリスであることに気付いた。人の思念を実体化する不思議な存在の住む星だ。

　ようやく本来の目的を思い出した一行は、ラーフが見つけてくれた政治犯ラダマンティスと話をした。ラダマンティスの説によると、三千年前にドラッケン星で三巨頭と呼ばれる三人のリーダーがクーデターを起こし、王制を打倒して共和制を樹立した。支配者となった三巨頭は、天啓を受けて自分達の基準で他の星を侵略し始めた、しかし、その天啓とは何者かの邪悪な意思であり、三巨頭はその意志に従っている、ということであった。ラダマンティスは、500年前にそのことを暴露しようとして捕まったらしい。また、ドラッケン星には「救世主がライオンの背に乗って現れる」という伝説があることもわかった。その話を聞き、相談の末、ドラッケン星で虐げられている翼の無いものたちを扇動し、革命を起こそうと決めた。また、ドラッケン星に気づかれずに近づくため、ヴァルナ星人と接触し、亜空間フィールドを手に入れたいと思った。

　惑星ソラリスを去ろうとした一行の前に、奇妙な姿の怪物が立ちふさがった。頭が４つ、腕が８本、翼が６枚あり、下半身は龍のような姿をしていた。腕には槍（アイシクルランス）、氷と炎の剣、盾、三挺の拳銃を持ち、その頭は4人に似ていた。ラダマンティスの解説によると、PCたちの思考がソラリスに刺激を与えたために出現したらしい。PCたちは苦戦し、柳原真理（PC5）が暴走しながらも何とか怪物を撃退した。

■独立の日
　怪物を倒して急いで惑星ソラリスを離れたPCたちは、ヴァルナ星人と接触したいと思ったが、居場所がつかめず無理だった。そうしていると、ティタン星から緊急通信が入った。地球の近くを旅行していたティタン星人が電波を傍受し、その重要性に気付いて超空間通信で送ったのだった。それを見ると、地球人は宇宙船艦隊を組織し、地球連邦の主導でドラッケン星へ攻め込もうとしていた。そこで柳原真理（PC5）はティタン星人の外交官に頼んで、地球の近くにいるティタン星人に超空間通信機を地球に送ってもらった。
　幸運にも、流星に偽装した通信機を最初に見つけたのは、柳原真理（PC5）の弟、誠の息子の勇であった。勇は天才的な頭脳で超空間通信機の使い方を理解し、柳原真理（PC5）との通信回線を開いた。「伯母さん」と親しげに呼びかける少年が誰なのか最初は理解できなかった。地球では既に15年が経過していたのだ。事情通らしい柳原誠が段取りを整え、地球連邦議長のグレッグ・ハートマンとの会談が行なわれた。
　地球では、国家の壁を越えた地球連邦が成立し、かつて月の石を持っていた元アメリカ大統領のハートマンが連邦議長となっていた。さらに、2011年の「世界の覚醒」より後に生まれた子供達の中に天才的な頭脳を持つ者がいて、その子供達の能力と、ろかくした宇宙船の解析とで技術が大きく進歩していた。ドラッケン星人の侵略円盤、ウイング星人の脱出カプセル、ヴァルナ星人（大神会の祖先）の隠した宇宙船などを研究したのだ。
　橘文雄（PC3）たちは、地球の艦隊にドラッケン星の近くに来てもらい、それによる動揺に乗じてドラッケン星で革命を起こし、新たに樹立された政府との間に停戦協定を結ぶ、という計画を話した。ハートマン議長もそれに同意した。ティタン星の近辺で地球艦隊の到着を待つことになった。

【次回予告】
革命。成功すれば、そう呼ばれ、失敗すれば反乱に終わる。勝てば官軍。負ければ犯罪者。だが敵は強大だ。三千年の長きに渡りドラッケン星を治める三巨頭。偉大なるオクタヴィアス、千里眼のレピドゥス、悪魔狩りのアントニウス。エネルギー吸収スーツ、ジオイド弾、悪魔封じ、敵の武器も強力だ。絶体絶命の王子たちに勝機はあるか。
「力が欲しいか」 それは悪魔の契約。勝利の鍵は、光の剣!?
そして、恐るべき敵が立ちはだかる。
次回、デモンパラサイトキャンペーン 「D3: Dynamic doom of The Diabolous Lord」 最終話「王の帰還」 　

最終回（第７話）「王の帰還」